川本眼科だより 137節電の夏 2011年7月31日
福島第一原発の事故、浜岡原発の停止により、電気が足りなくなるのではないかと心配されています。一番電気が使われるのは夏の暑い時間帯です。みんながエアコンを使うからです。
気温が高い日の午前11時から午後5時くらいが電力需要のピークになります。
電力需要が供給を上回ると大停電がおこり、医療機器が突然停止したり、高価な精密機器が壊れたり、不測の事態が予想されています。人命に関わる事故がおこりかねません。
政治家や電力会社に文句をつけたいところですが、こういう時は節電に協力するのが市民の義務だと思います。
節電に協力する上で大事なのは「何百ワットも電気を消費する機器への対策」です。それがなければ数ワット程度の節電をいくら積み重ねても尻抜けです。
ピーク電力対策
長期的に「節電型の社会」を作ってエネルギーを無駄に使わないようにすることはとても大事なことだと思います。ですから夜間も早朝も節電するに越したことはないのです。
ただ、今節電が叫ばれているのはもっと差し迫った問題です。夏の電力需要ピークに発電量が不足し、突然の大停電が起こるのではないかという心配です。長期的目標はさておき、とりあえずピーク電力対策をしなければならないわけです。
夏の日中の消費電力は、エアコン53%、冷蔵庫23%、照明5%、テレビ5%です。
数百ワット消費する電気製品の使用を夏ピーク時に控える
一番問題になるのは「数百ワットの電力消費が5分以上続く」という電気機器です。エアコン以外はだいたいが電熱器だと思ってよいでしょう。電気ポット、コーヒーメーカー、電気炊飯器、オーブントースター、ホットプレート、IHクッキングヒーター、食器洗い機、食器乾燥機、衣類乾燥機、温風式生ゴミ処理機などです。
電力の需給がピンチになる暑い時期だけは、電力ピークの時間帯を避ける配慮が望まれます。昼食時は気をつかいたいですね。
川本眼科では電気ポットの使用をやめ、やかんで湯を沸かし、昔ながらの魔法瓶で保温することにしました。院長はコーヒーメーカーを使わず1回1回ドリップで入れています。香り高くて美味しいですよ。
洗濯物はなるべく外に干すのがいいですね。衣類乾燥機/食洗機/生ゴミ処理機などの使用は日中を避け、なるべく夜まで待つことが推奨されます。
数百ワットの電力消費でも短時間なら許されるでしょう。(例:コピー、レーザープリンター、電子レンジなど)もちろん不要不急なら避けましょう。
温水洗浄便座もトイレットペーパーでOKの人は電源を切りましょう。エアータオルもたいていはハンカチで済むはずです。
照明など長時間使い続ける電気製品を省エネ型に替える
照明は1つ1つは白熱電球でも60ワットくらいまでです。でも数が多い。昔ながらの白熱電球はだんだん見かけなくなりつつありますが、ミニクリプトン球と呼ばれる小型電球は今でもたくさん使われています。たくさん使っていると全部で千ワットを超えることもあります。
一番簡単な対策はつけないこと。名古屋市の市営地下鉄では天井の蛍光灯の4分の1を外していますね。外せば絶対に点灯できませんが、外せなくてもこまめに消灯するのは有効です。
白熱電球を電球型蛍光灯やLED電球に取り替えるのはある意味理想的な対策だと思います。禁止型の「○○を使わない」という対策は人間に我慢を強いており、長期間継続するのは困難です。ちゃんと節電を守る人と守らない人の間で軋轢が生じたりします。
その点、省エネ型照明は、一度取り替えてしまえばもう人間が別に努力しなくても自然に節電できているのが良いのです。
問題は価格です。省エネ型照明は高い。ただ、幸いなことに電球型蛍光灯にせよLED電球にせよ長寿命なので、節電による電気代の低下で元が取れます。電球型蛍光灯なら寿命は4倍長く消費電力は5分の1です。
LED電球なら寿命は20倍で消費電力は10分の1です。節電協力のため川本眼科では大半をLED電球に交換しました。みなさんも交換してはいかがですか?
冷蔵庫も一昔の製品なら交換したほうがずいぶん省エネになります。でも値段の高い製品ですからそう簡単には買い換えられませんね。複数の冷蔵庫がある場合、利用法を見直し集約すれば大きな削減になります。節電協力のため川本眼科では最近小型冷蔵庫1台の使用を中止しました。
エアコンの節電
エアコンなしで日本の夏は過ごせません。ただ、エアコンの消費電力は大きく、特にスイッチを入れて冷やし始めた時は500~1000ワットくらいです。(外気温によって大きく異なる)
設定温度まで冷えると維持運転に切り替わり、50~200ワットくらいになります。
冷房を午前中我慢して昼頃つけると、一番電力不足が心配される時間帯にエアコンがフル稼働してしまいます。午前10時までに十分冷やしておくのがピーク電力対策としては正しいのです。電気代だって断熱性が良い建物ならそれほど変わらないと思います。
会社を休みにしてもピーク電力対策にはならないようです。勤め人がそれぞれ自宅でエアコンをつけるとかえって電力消費が増えるという試算があります。一人暮らしの人も共働きの人も多いですからね。同じ理由でサマータイムもピーク電力対策としては無効です。
エアコンの設定温度を上げるのは有効です。設定温度を1℃上げると約10%節電できます。ただ、医療機関で熱中症をおこすわけにはいかず、限度があります。扇風機を併用すると体感温度が下がりますが、風があたることを嫌う人もいるので使い方が難しいところです。
なお、一般にドライは冷房より電気消費量が大きい(再熱除湿の場合)のでご注意下さい。
川本眼科はガスエアコンを使っています
川本眼科は「ガスエンジンでヒートポンプを動かすエアコン」を使っています。もともとは高圧電力契約や変電設備設置を避けるための選択でしたが、こういう事態になってみると大正解でした。ガスエアコンの電力消費は電気エアコンの10分の1程度です!
つまり何もしなくてもピーク電力対策に多大な貢献をしているというわけです。ガスエアコンの使い勝手は普通のエアコンとほとんど変わりません。もっと普及すれば夏のピーク電力問題は解決します。
後から増設したエアコンが4台あって、それは普通の電気エアコンなので、なるべく電気エアコンは使わずガスエアコンで冷やすことを心がけています。
2011.7