レーシックの問題点

レーシック（ＬＡＳＩＫ）は一般の方にも有名です。いまや近視手術の代名詞と言えるほどです。それまでのＲＫ手術、ＰＲＫ手術の欠点を克服し、さらに機械も手技も改良が重ねられて今日に至っており、優れた手術成績を誇っています。

レーシック手術に伴うトラブルのうち、「過矯正で遠視化した」「レーザーの照射が中心を外れていて乱視がおきた」などは、最新の機種を用い、経験豊富な術者が細心の注意を払うことによって概ね防ぐことができます。

ただし、最新の機械と最高の技術を駆使しても避けられない問題点はあります。
１．ドライアイになりやすい
２．術後角膜の強度が落ちる
３．若干近視に戻ることがある
４．ハローやグレア（光のにじみや眩しさ）

大多数の方にとっては、近視が治るメリットのほうがずっと大きいと考えていただけるのですが、中には許容範囲を超えていると感じる方もいらっしゃるのは事実です。事前に十分な説明を受けたかどうかによって感じ方が違うようです。

レーシック後のドライアイ

このうち最大の問題はドライアイだと私(院長)は考えています。

レーシックでは角膜の表面を薄く広く切ってめくり（フラップ作製）、そこにエキシマレーザーを照射して角膜実質の一部を蒸散させて角膜の厚みを変化させています。

フラップを作るために角膜を広範囲に切るので、角膜の知覚神経を切断してしまうことになります。その結果、角膜からの刺激による涙の分泌が減ってしまい、ドライアイになるのです。幸い、神経は再生してくるので、６ヶ月くらいで元に戻ると言われています。

ところが、困ったことに術後１年以上経つのにドライアイの症状が治らないことがあります。たいてい程度は軽く、「よく見えるようになったから満足している」とおっしゃる方が大半ですが、それほど珍しくないように感じます。やっぱり、神経が再生はしても完全に元通りにはならないのではないか、というのが私の意見です。

スマイルは小切開

スマイル（SMILE＝Small Incision Lenticule Extraction）は新しい近視手術法で、フェムトセカンドレーザーにより角膜実質の一部を好きな形に切り出し、ごく小さな切開創から抜き取ります。フラップを作る必要がないのです。ガバッと開けなくてよいのは驚きです。

レーシックでは円形に約20mm切開するのに対し、スマイルではわずか3～4mmの切開で済みます。これだけ切開が小さいと角膜の強度が落ちることもなく、殴られたり交通事故に遭遇したりした時に裂ける心配がありません。格闘技のような激しいスポーツをする方でも受けられます。

角膜の知覚神経をわずかしか切断しないので、ドライアイになる心配もしなくてよさそうです。

近視の戻りもレーシックに比べて少なく、屈折度数が安定しています。

利点が非常に多いことは間違いありません。

スマイルに欠点はないのか

スマイルがレーシックより優れている点はたくさんあります。それでは欠点はないのでしょうか。

スマイルでは不正乱視や遠視は矯正できません。でも、そういうことは術前検査でわかります。そういう人にはレーシックが適しているわけですから、レーシックに切り替えれば済む話です。欠点とは言えません。

最高視力が出るのがレーシックより遅い傾向があります。でも数日待てばよいことなので、これも問題にはなりません。早く視力が出ることより、視力が安定していることのほうがずっと大事です。

後は価格くらいでしょうか。レーシックよりは少しだけ高くなります。でも、一生の問題ですから少しばかりのお金には換えられません。

どちらの術式も可能なら、あえてレーシックを選ぶ理由は見当たりません。断然スマイルです！

名古屋アイクリニックだけ

現時点では、スマイルが受けられる眼科は限られています。日本国内で７施設しかなく、東海地方では名古屋アイクリニックだけです。

今までレーシックに多大な設備投資をしてきた眼科では、スマイルにすぐ切り替えるのは採算上難しいのです。

名古屋アイクリニック院長の中村友昭先生は私の友人です。この分野の第一人者であり、勉強家ですし研究熱心ですし、採算を度外視しても常に患者さんにとって最高の医療を提供しようとする姿勢には頭が下がります。ここなら安心して手術が受けられると思います。名古屋アイクリニックでスマイルの費用は両眼で３４万円＋税です。

手術法の詳細はホームページで

術式の理解には図や写真や動画が欠かせず、この紙面では説明しきれません。興味を持たれた方はホームページをご覧ください。「名古屋アイクリニック　スマイル」で検索して下さい。
http://www.lasik.jp/menu/relex_smile.html

広告宣伝にだまされないで

近視矯正手術をしている施設は高額な医療機器を揃えなければならず、設備投資を回収するために患者集めに必死です。そのため、ホームページなどに誇大広告や信憑性の薄い記載がされていることが多いのが実情です。

よくある手口を挙げてみましょう。あまり有効と思えない検査を「うちだけが検査できる」と宣伝する手口。大して差がない術式に大きな料金の差をつけておき、安い料金で集客して、来院してから言葉巧みに料金の高い術式に誘導する手口。本当かどうか不明の患者の体験談で褒めまくる手口。芸能人が受けたと宣伝する手口。普通使わない特殊な命名をして優秀な手術法だと錯覚させる手口・・等々。

手術を急がせる施設、メリットしか説明せずリスクの説明を全くしない施設、術後の通院をしなくてよいと言う施設・・こんな所で手術を受けてはいけません。賢い患者になりましょう！

(2014.3)