川本眼科

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院長のつぶやき

院長のつぶやき 依存性のない睡眠薬 2017年3月1日

不眠で悩んでいる人は多い。
特に高齢になると何らかの睡眠障害に悩んでいることが多い。
寝付きも悪くなるし(入眠障害)、眠りは浅くなる(途中覚醒)。

眠れないと、翌日がつらい。
眠気やだるさで仕事にならない。
大事な会議の最中に睡魔に襲われたりする。

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不眠に悩むと睡眠薬に手を出したくなる。

今一番使われているのはベンゾジアゼピン系睡眠薬。
効果の短いもの、長いもの、種類がたくさんある。
ハルシオン、デパス、ユーロジンなど。
安全性も高く、たくさん飲んでも死ぬ心配はない。

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬というのもある。
マイスリー、アモバン、ルネスタ。
今のところ作用時間が短いものしかない。
日中の眠気やふらつきといった副作用を抑えている。
それでいて効果はベンゾジアゼピン系とほぼ同等。
ただ、抗不安作用はないので使い分けが必要。
薬価も高い。

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確かに、これらの睡眠薬は有効だ。
必要な時に確実に効くから、重宝する。

ただ、問題がある。依存性があるのだ。
要するに、睡眠薬なしではいられなくなってしまう。
いったん睡眠薬に頼るようになると、離れられない。
睡眠薬を飲まないと全く眠れなくなってしまう。
しかも、だんだん効きが悪くなって量が増える。

依存性は麻薬や覚醒剤ほどには強くない。
だから、努力すれば依存から離脱はできる。
でも、依存から脱するまでは相当につらい思いをする。
(タバコを吸う人が禁煙するようなもの)

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依存性のない睡眠薬はないものか・・・ある。
今使えるのは2種類。
ロゼレムとベルソムラ。
先日、NHKのガッテンという番組で紹介された薬。
NHKなので商品名は出さなかったが、これに間違いない。
(ただし血糖を下げるために睡眠薬を使うのは問題あり)

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ロゼレムは「メラトニン受容体作動薬」という薬。
メラトニンは体内時計に関係するホルモン。
自然な眠りを催す薬で、きわめて安全。
時差ぼけで体内時計が狂った時にも効きそうだ。
依存性は全くない。その他の副作用もほとんどない。

ただ、残念なことに効果が弱い。
確実に眠れるわけではない。
だから、逆に毎日飲み続けるのに適している。
漢方薬みたいな感覚。体質改善薬と思えばよい。
寝る直前にのみ、部屋を暗くしないと効きにくい。
なお、併用してはいけない薬がいくつかある。

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ベルソムラは「オレキシン受容体拮抗薬」という薬。
オレキシンは人を眠りから覚醒させるホルモン。
ベルソムラはオレキシンの働きを邪魔する薬。

依存性はない。これはうれしい。
翌日のふらつきや健忘もない。高齢者には望ましい。
ただ翌日日中の眠気が残ることはあるようだ。
また、まれではあるが悪夢を見ることがあるという。

効き目はベンゾジアゼピン系よりは弱い。
でもロゼレムよりは強い。

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あらゆる要求を満たした理想の睡眠薬とは言えない。
効き目が弱いと不満を感じる人も多いだろう。
でも、依存性がないのは大きなメリットだ。
依存性を恐れて睡眠薬を我慢している人は多い。
そういう人には第一選択になるのではないか。

(2017, 3. 1)

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