川本眼科

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川本眼科だより

川本眼科だより 223病医院のお休み 2018年8月31日

日曜・祝日に開いている病医院があったら便利なのに!と思った方は多いと思います。1週間くらいの休診で、診てもらえなくて困った、という人も多いですよね。コンビニみたいに年中無休、24時間診療が患者さんの究極の希望です。

それができないのは、当然医師側にもいろいろ事情があるからです。その点を考えてみます。

曜・祝日の診療

ほとんどの医療機関は日曜・祝日は休診です。でも、会社勤めの人は平日は仕事がありますから、日曜祝日に診察を受けたい人は多いはずで、もし開いている病医院があれば患者さんが大挙して押し寄せるのではないでしょうか?

需要はあるのに日曜祝日に診療する病医院がほとんどない理由はいくつかあります。

その1。学会や講習会などが土日に開催されるからです。ほとんど毎週のように大小さまざまな学会・講習会が開かれています。医師という職業は一生勉強を続けて情報収集することが必要で、そうでなければ最先端の医療についていけません。

その2。医師にもスタッフにも家族があって、日曜祝日に診療すると家族と過ごす時間を犠牲にするしかなくなるからです。これはかなり切実な問題です。開業医では交代要員は普通いませんし。救命救急を専門にした知り合いの医師は、家族旅行にも行けないし、子供の運動会にも出たことがないと言っていました・・

そのほか、日曜祝日に診療すると、結婚式にも出席できなくなるとか、求人のときに看護師や視能訓練士などの有資格者が応募してくれないとか、さまざまな困難に直面します。

週休2日制は?

大きな病院では土曜日を休診とする週休2日制が当たり前になりました。開業医は昔ながらに土曜午前中は診療するのが普通です。

土曜診療のニーズはきわめて高く、川本眼科でも土曜は一般的に混雑します。受付は正午までですが、午後2時までかかることもあります。逆に平日でも受診できる方は土曜受診を避けるため、何とかなっているという状況です。

「大病院は土日休診」を前提として、大きな学会は土日や金土日の日程で組まれるようになり、「開業医は土曜半日診療」を前提として、開業医対象の講習会は土曜の午後3時以降や日曜祝日に組まれています。

このように、開業医はなかなか土曜診療をやめられません。土曜休診では困る患者さんが多いからです。逆に土曜の受付をもう2時間延長すれば喜ばれるでしょうが、愛知県眼科医会主催の講習会など重要な会に出席できなくなってしまいます。現状を変えたくても変えられないのです。

お盆休み・夏休み

お盆は8月15日前後で、2016年に山の日が祝日として追加されたので、お盆休みは8/11~8/16あたりの5~7日間が一般的です。

大きな病院にはお盆休みはありません。医師は7~9月に交代で1週間休むのが普通です。医師が複数勤務する病院だからこそ可能なわけです。 開業医はお盆休みを取るのが普通ですが、お盆には診療して別の時期に夏休みを取る医師もいます。そのほうが道は空いているし、宿は取りやすいし、海外旅行ツアーなら半額くらいになるので、絶対に得なのです。

川本眼科でもお盆とずらして夏休みを取ったこともありました。でも、患者さんから苦情が多く、またお盆期間中に受診される患者さんは少なく、さらに看護師などからお盆には田舎でみんなが集まるので休みたいという要望が出て、結局それ以降は普通にお盆休みを取るようになりました。

正月休み

官公庁の正月休みは12/29~1/3と決まっていて、多くの会社がこれに右にならえで休みます。病院もたいてい同じ日程で休みます。

開業医は、上記の期間より1~3日長めに休みを取って旅行に行くことが多いです。この時期の旅行料金は滅茶苦茶高くなりますが、別の時期に休むのは難しいので、高くても仕方ないのです。

お盆と同じで、スタッフの中には田舎に帰る人がいます。また、「子供が帰省して帰ってくる」という場合は正月休みがないと困ります。

一斉に休むか交代で休むか

一斉に休むことにはもちろん利点があります。職場で働いている親も学校で勉強している子供も同じ日曜祝日が共通の休みだからこそ、親子で遊びに出かけることが可能なわけです。正月やお盆に普段散り散りになっている家族・親族が一堂に会することができるのも一斉に休みを取るからです。あるいは村で祭りをするなら全員が一斉に休むのは当然です。

しかし、さすがに日本全国一斉に休むという規模になると弊害も目立ちます。高速道路40km渋滞とか、駅・空港・列車が殺人的混雑とか、そもそも田舎に帰る切符が取れないとか。期日をずらして交代で休めばこんなことにはならないわけで、みんながもっと平和に楽しく過ごせるのではないかと思うのです。

例えばお盆休みを前期日程・後期日程に分けて、休みを取る時期をずらせば状況は大きく変わります。もちろん多少の問題は起きるでしょうが、現在の異常な状況を改善する利点のほうがはるかに大きいと思います。「長期休暇なのにどこも混雑し過ぎているからどこにも行かない」が現実では誰も幸せになれません。

開業医も前期・後期で半分ずつ休むようにすればどこもかしこも休診という事態を避けられます。正月やお盆は医療過疎地と同じ・・これは相当に問題の多い状況ではないでしょうか。

もう少し休みが欲しい

私も還暦になりました。会社勤めなら定年でもおかしくはありません。幸い大病はせずまずまず健康でまだまだ働けそうですが、以前に比べると疲れたと感じることが増えました。

土日は学会や講習会で埋まることが多く、水曜午後は休診でも手術の立ち会いをしたり学校医の仕事をしたりするのでこれまた完全なお休みというわけではありません。

最近は雑用も多く、何か制度改正があるたびに書類書きが増えます。毎日そのためにかなりの時間を費やします。スタッフに移管できる仕事はなるべく任せるようにしていますが、やはり人任せにできない仕事もかなりあって楽にはなりません。

川本眼科だよりは毎月書いていますが、適当な話題を思いつかないことも多くて、月の後半になると締切に追われる物書きの気分になります。

それやこれやでもう少し休みが欲しいと思うようになりました。今の夢は週休2日にすること。一時実行しようとしましたが、検討の結果難しいということになり、頓挫しています。でも実は、まだ諦めていません。

せっかくなら旅行にも行きたいし、土曜休診は難しいので、月曜休診にしたいと考えています。日曜夜なら人気の宿も簡単に取れるし。

ああ、でも、患者さんの待ち時間など考えると今実現するのは困難です。もう少し頑張るしかないけれど、でもいつか必ず実現するぞ!

(2018.8)