川本眼科

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川本眼科だより

川本眼科だより 29韓国強し 2002年7月31日

サッカーのワールドカップはご覧になりましたか? 日本も惜しかったですが、共同開催国の韓国の活躍には目を見張るものがあります。
 
最近はさまざまな分野で韓国がとても元気だと感じます。今でも日本のほうがリードしている分野が多いのですが、韓国には成長国としての勢いがあり、いまや老大国の感がある日本はうかうかしていられないのではないでしょうか。

韓国がワールドカップ4強に

サッカーのワールドカップはご覧になりましたか? 日本戦がある日は当院もガラガラに空いていました。それをいいことに、院長も診療を家内に任せてサッカーをテレビ観戦しておりました。当日ご迷惑をおかけした患者さんにはお詫び申し上げます。
 
日本も1次リーグを突破し、決勝トーナメントに勝ち上がりましたがトルコに惜敗してしまいました。もう少し上に行くチャンスだったのに残念でしたね。
 
ただ、共同開催国韓国の大活躍の前には日本も影が霞みそうです。なにしろ、優勝候補のポルトガル・イタリアを撃破し、強豪スペインも下して堂々のベスト4です! 準決勝ではドイツに敗れたものの善戦しました。
 
もちろん運もよかったのでしょうが、勝負の世界では運も実力のうちですし、内容的にも互角に戦っているのは立派です。

囲碁も韓国が最強

私(院長)は囲碁を趣味にしています。学生時代には囲碁部に入っていました。といっても弱くて選手にはなれなかったのですが。大学を卒業後は、忙しすぎて、20年くらい囲碁からは遠ざかっていました。
 
最近、「ヒカルの碁」というマンガが子供たちの間で人気になり、テレビアニメにもなって、ちょっとした囲碁ブームになっていることをご存じでしょうか。「ヒカルの碁」は当院の待合室に置いてありますから、興味があればお読み下さい。
 
息子に「ヒカルの碁」を読ませて碁を教えたところ、すっかりはまってしまい、日本棋院(囲碁の総本山みたいな組織)のこども教室に通うようになりました。逆に、親の私も触発されて20年ぶりに打ち始めました。
 
それで、囲碁の雑誌を読んだりするようになったのですが、びっくりしたのは、韓国が強くなっていて、日本は歯が立たなくなっているということです。
 
例えば、本年4月末に「LG杯世界棋王戦」がソウルで行われましたが、日本は、棋聖・十段・本因坊・天元・王座・碁聖のタイトル保持者5人を送り込んだにもかかわらず、ことごとく敗れ、ベスト8には韓国7人、中国1人が残るという結果でした。
 
これに限らず、最近の国際棋戦では、韓国が日本や中国を圧倒しており、韓国のイ・チャンホがトップに立っているという状況です。
 
20年前には、日本が囲碁の中心で絶対的に強かったことを考えると、まさに様変わりです。
 
韓国が躍進したのは、韓国出身の棋士の活躍の結果囲碁ブームがおこり、その結果、底辺を支える囲碁人口が多くなり、子供教室がたくさんできて、強い若手棋士がどんどん出てくるという好循環が続いているからだといいます。近い将来にはこの状況は変わりそうもありません。

医療の世界では日本優位だが

医療の世界では、やはり日本のほうが韓国より進んでいると思います。
 
高度な医療にはお金がかかるわけで、医療の格差は経済力の格差を反映していると考えて間違いないでしょう。アメリカが高度先進医療の分野で君臨しているのは、世界一の経済力に裏付けられているのです。韓国が経済力をつければ、医療の格差も縮まっていくでしょう。
 
韓国では日本にくらべて医療関係の規制が緩く、新しい医療機器を早く使うことができます。日本では、アメリカで認可された医療機器であっても、もう1度日本で臨床試験をやり直さなければならず、この臨床試験にものすごく時間がかかるので、数年遅れてしまうのです。
 
例えば、レーシックという近視矯正手術の導入は、韓国のほうが5年くらい早かったのではないでしょうか。ラセックという別の近視矯正手術は、韓国では結構実施されていますが、日本ではほとんど行われていないようです。
 
新しい手術法を試したり、新しい医療機器を使ってみることには、それなりのリスクも伴うので、早くとびついたほうがいいとは必ずしも言えないでしょう。しかし、導入に時間がかかりすぎるのは、医療の進歩には間違いなくマイナスです。
 
規制でがんじがらめにして認可にやたら時間をかけるのは考えもので、そういう意味では韓国のほうが恵まれた状況にあります。

教育熱心な韓国

韓国は教育熱心な国です。日本を目標に国を挙げて努力しており、分野によっては成果がみのりつつあります。
 
かつては、日本も欧米を目標に国を挙げて努力していたわけですが、今はそういう方向性を失っているように見えます。
 
こどもの家庭における学習時間を国際比較した調査はいろいろありますが、いずれも韓国のほうが日本よりはるかに勉強時間が長いのです。小学校高学年~中学を対象とした調査で、日本の子供の勉強時間は平均で1時間~1時間半くらいで、とくに全然勉強しない子供がかなり増えていると言います。これに対し韓国の子供の勉強時間は、平均で3時間近いのです。
 
逆に、テレビの視聴時間は日本では2時間半くらいで、韓国(ソウル)では1時間半くらいです。平均で1時間の差は非常に大きいと思います。
 
なんとなく、韓国の子供が勉強している間に、日本の子供がテレビやテレビゲームで時間をつぶしている姿がイメージされてきます。
 
今のままだと、教育熱心な韓国が、経済力をつけるにつれ、さまざまな分野で日本を追い越す日が来るような気がします。囲碁の世界で韓国が日本を追い越し、圧倒するようになった状況が、医療の世界にもおこるかも知れません。
 
さらに、韓国のむこうには中国があります。中国も教育熱心な国です。中国の足音もだんだん大きくなってきているように思うのは、私だけでしょうか?

※7年後の現在、ここに書いたことが相当程度正しかったと実感しています。特に中国の台頭は目覚ましいものがあります。

2002.7