院長のつぶやきアナフィラキシー
スギ花粉のアレルゲン免疫療法を自分に試したら上手くいった。
これに気を良くして、今はダニのアレルゲン免疫療法を自分で試している。
ダニ抗原エキスを少しずつ増量しながら注射する。
抗原に身体を慣らして過剰な反応が起こらないようにするわけだ。
順調に増量できていたが、本日アナフィラキシーを起こしてしまった。
外来を始める直前の朝の出来事。
アナフィラキシーは重症型のアレルギー反応。
最悪の場合、喉頭浮腫をおこし、呼吸ができなくて死ぬこともありうる。
ここまで順調だったので、正直想定外だった。
注射の時に少し出血したので、抗原が血管に入り込んだのかも知れない。
身体が熱くなるような感覚があって、ちょっとおかしいな、と思った。
それから1分くらいのうちに、顔が真っ赤になり、全身に発疹。
少し息苦しさを感じた。
自分で自分にやっているので、自分で何とかするしかない。
落ち着くよう自分に言い聞かせ、エピペンを持ってくるようナースに指示。
これは緊急用のアドレナリン注射液。アナフィラキシーの特効薬。
躊躇っている場合ではない。服の上から太腿にブスッ。
医者やっててもさすがに初めての経験だったが、針が細くて痛くなかった。
ステロイドの点滴をする方法があるが、実は眼科には何も置いていない。
普通は要らないから。
セレスタミンという抗ヒスタミン薬とステロイドの合剤を2錠内服。
薬が効いてくれば収まると思ったが、効くのが間に合わないと困る。
「もし俺が倒れたら救急車を呼んでくれ」とナースに依頼。
カミさんも医者だけど、眼科のキャリアしかないから救命処置は無理。
怖かったが、幸い5分ほどで薬が効いてきて、症状は大幅に改善。
死なずに済みました。
体調はまだおかしかったけれど、外来はいつも通りこなしました。
開業医は診療に穴を開けるわけにはいかない。
いや、開業医って病気できないんです。ちょっとつらい。
(2015. 9.02)
院長のつぶやきオークラ本館の建て直し
ホテルオークラ本館が昨日53年の歴史に幕を閉じた。
取り壊し、新しいホテルに建て替えることになっている。
27年前、私たち夫婦はオークラで結婚式を挙げた。
ちょうど折り返し地点だったわけだ。
なくなってしまうのは、なんだか寂しい。
サービスの質は他のホテルを凌駕していたと思う。
良いホテルだった。
新しいホテルがそのDNAを引き継ぐことを期待している。
(2015. 9.01)
院長のつぶやきまぶたが腫れる食物アレルギー
アルコンのサマーセミナーに参加した。
島根大学皮膚科の千貫(ちぬき)祐子先生の話が面白かった。
「茶のしずく石鹸」で小麦アレルギーが起きたというニュース。
ひと頃ずいぶん話題になった。
千貫先生はこのアレルギーを解明した人。
にこやかに、でもとても明晰な語り口の講演。
講演は医師向けなので基礎的な話は常識として触れない。
そこで、一般向けに基礎知識を補いながら講演内容を紹介する。
アレルギーは異物が体内に侵入することで「感作(かんさ)」される。
主にタンパク質が原因となる。
侵入から感作の成立まで10日くらいかかる。
いったん感作されると、次に同じものが侵入した際に過剰な反応を起こす。
これがアレルギー反応である。
食事の場合は普通タンパク質を摂取しても感作されない。
動物の肉を食べても普通アレルギーは起こさない。
小麦にも米にもタンパク質は含まれる。
でも、小麦でできたパンやうどんを食べてもアレルギーは起こさない。
ところが、タンパク質が皮膚から吸収されると感作されやすい。
まぶたの皮膚は薄くて柔だから異物が侵入しやすい。
手の皮膚では感作されにくいが、まぶたでは感作されやすいのだ。
茶のしずく石鹸には小麦加水分解産物が含まれていた。
これがまぶたの皮膚から吸収されて感作を起こした。
その結果、小麦による食物アレルギーを起こすようになってしまった。
実は食物由来の成分が含まれる石鹸、シャンプー、化粧品は多い。
今回と同じような問題が起こっている可能性は高いという。
ただ、感作の頻度は高くないので、気づかれていないと考えられる。
茶のしずく石鹸は大ヒットだったので、たまたま問題化したらしい。
そもそも使っていても発症する確率は0.1%に満たない。
あまり数多くのシャンプーや化粧品を次から次に試していると、
こういうアレルギーを発症する不運に見舞われるかも知れない。
自分の定番を決めて浮気しないほうが安全だ。
皮膚で感作された場合、食物を消化管を通して吸収した場合でも、
最初に感作した皮膚にアレルギー反応が強く出る。
すなわち、感作されやすいまぶたが腫れることが多い。
まぶたが腫れた場合、食物アレルギーの可能性もあるというお話。
さらに、花粉で感作されることで食物アレルギーを起こすこともあるという。
花粉にも食物にも共通のタンパク質が含まれている場合がある。
完全に同一でなくても類似性が高ければ起こりうる。
ハンノキ/シラカバの花粉症→リンゴ、桃、梨、サクランボ等のアレルギー
ヨモギの花粉症→ニンジン、メロン、リンゴ、キウイ等のアレルギー
ブタクサの花粉症→バナナ、スイカ、キュウリ等のアレルギー
カモガヤの花粉症→メロン、スイカ、トマトのアレルギー
イネの花粉症→メロン、スイカ、トマト、オレンジのアレルギー
眼科医の私は知らなかった。
眼瞼浮腫が食物アレルギーで起こる可能性を心に留めておこう。
(2015. 8.23)
院長のつぶやき近視抑制法とその効果
各種の近視抑制法はどの程度効果があるものか。
報告は多いが論文によって差が大きく、報告の信頼性に疑問があったりする。
だから正確な比較などできない。
それを承知で、一応現在までに提唱されている方法を比べてみた。
以下、私が近視抑制効果が強いと判断した順に挙げる。
1.オルソケラトロジー
たぶん、最も効果がありそうだ。中国の富裕層で流行っている。
でも勧めない。角膜を傷つけ、感染を起こすリスクがあるから。
学会のガイドラインは20歳以上。現実には子供に使われているが。
お金もたくさんかかる。
2.屋外で太陽光を浴びて1時間以上過ごす
意外にも、これが相当に有効のようだ。
サッカーでも野球でも外で遊ばせておくとよい。
でも、現代の子供たちの生活では結構難しいのかも・・
3.低濃度アトロピン
期待したほどではなかったものの、私の経験でも有効だと思う。
効果が弱くても1日1回させばよいという手軽さが素晴らしい。
ちなみに、ミドリンの点眼では残念ながらほとんど無効のようだ。
4.累進焦点メガネ
岡山大学の臨床研究で効果は実証された。
でも、示された効果はあまりにも少なかった。
メガネをかけていない子供にわざわざかけさせるほどの意味はない。
必要に迫られてメガネをかける際に累進にしておく手はあるかも。
なお、以上のどの方法とも必ず併用すべき近視抑制法がある。
それは何の作業をする際にも30cm以上の距離を取ること。
(スマホや携帯ゲームでは15cmくらいになっていることが多い)
近くを見る作業を30分以上連続で続けないことも推奨される。
(2015. 8.10)
院長のつぶやきコンピュータの修理
ところで、明日コンピュータを修理に出す。
RAID1といって、2台1組のハードディスクを使っている。
一方がクラッシュしても、もう一方が大丈夫ならデータは残るという寸法。
片方のハードディスクが壊れたので、取り替える。
数日間はパソコンが使えない。
仕事ができなくて困るけど・・仕方ない。
パソコン以外で仕事することにしよう。
(2015. 7.13)