院長のつぶやき医師免許証の偽造
新聞報道によると、岐阜県で無資格のニセ眼科医が逮捕されたそうだ。
2001年に岐阜県関市の眼科診療所で非常勤医として働き、2002年関市に
眼科診療所を開設、その後大垣市の病院に勤務し、2005年に北方町で
コンタク ト店隣接の眼科「アイクリニック北方」を開業したという。
驚きあきれるしかない事件だが、「悪い奴が捕まりました。
世の中いろんなことがあるもんですねえ」で済ましてしまっては
ならないと思う。最大の問題は、医師資格の確認が従来きわめて
いい加減で、その辺の事情をよく知った人間なら簡単に「なりすまし」が
可能だったことだ。
医師免許証は賞状や表彰状みたいな代物だ。顔写真はついていないし、
偽造防止のための工夫など何もされていない。町の印刷屋が
その気になれば誰にも見分けがつかないようなニセ免許証を
作ることだって容易だ。
そのうえ、病院に就職する際も、たいていは医師免許証のコピーしか
要求 されない。
原本を見せろと言われることはまずない。
医師免許証は大きくて折れ曲がらないように持ち運ぶのが
大変だというのも理由の1つだ。
しかしコピーなら名前を改竄することも簡単だ。
コピーなら本人に気づかれずに他人がこっそり悪用することも可能だ。
診療所を開設する際も、医師免許証のコピーでよい地域もあった。
ほかにもニセ医者事件があったので、さすがに今は必ず原本と
照合することになっているはずだが、これもそんなにしっかり
確認するわけではない。本物によく似た紙にカラーコピーして
原本だと言えば通ってしまう可能性は高い。
さらに、最近になって医師免許取得者のデータベースができたので、
届け出の際にチェックすればニセ医者を防げるという。
これも実は問題がある。
ニセ医者が医師免許証の名前通りの人間になりすませば、
データベースには確かにそういう名前の医師が存在するので見抜くことが
できない。結局、根本的な解決にはシステムを改変するしかないだろう。
医師免許証のスタイルを変更すればいいのだ。
運転免許証のように顔写真付きにすれば、他人がなりすますことは
できなくなる。
ホログラムのような偽造防止技術を使ったものにすれば、コピー機で
偽造という安易な方法は使 えない。ICチップ埋め込みなんていう技術を
利用することも考えられる。その気になれば簡単に変更できるはずだ。
そして、携帯が容易な大きさにした上で、コピーでなく本物の
医師免許証の提示を求めればよい。コピーが必要なときはコピーを
持ってこさせるのではなく、担当者がその場でコピーを取るべきだ。
医師という重要な身分を証明する最大のよりどころであるはずの
医師免許証なのだから、このくらいのことは当然だと思うのだが。
2007.10.10
院長のつぶやき大変!高血圧だ!
私は人間ドックには行ったことがない。典型的な医者の不養生である。
血液検査だけは自院でするが、あとは多忙を口実に逃げていた。
たまたま、先日献血をした。学生時代に始めて100回目の献血だった。
問診担当の老医が何度も血圧を測り直して言うことには
「血圧高いですよ。今日は献血してもいいことにしておきますが」
そう言えば、数年前から血圧が少し高めと言われることが多くなった。
たまたま緊張やストレスで高かっただけだ、と思っていたのだが・・
さすがにちょっと気になって、さっそく最新の自動血圧計を注文。
2日で届いたので測ってみる。何度も何度も測り直す。
何? 170/110だって?
驚愕。信じられなくて家族の血圧を測りまくる。みんな正常。ええっ?
機械の故障ではなく、どうやら立派な高血圧のようだ。ショック!
まだ、子供たちは中学生。脳卒中や心筋梗塞になってはまずい。
家内からは病院に行けと言われたが、血圧くらいで通院もしんどい。
眼科医とはいえ、本当に医者の不養生だ。
どうせ本態性高血圧だろうと高をくくり、薬をのんですますことにする。
最初はミカルディス、それから利尿剤(ダイクロトライド)を追加。
幸い、反応は良く、130/80くらいに落ち着いた。
一度全身検査は必要なのだろうけれど、暇ができたら、ね。(^o^)
減塩もしようとしたが、これは言うほど簡単じゃない。
だいたい、家族と別メニューを食べるなんて無理だ。
せいぜい、醤油をかけないようにするくらい。
大好きなラーメンの汁は泣く泣く残すことにしたけれど。
患者さんの苦労が身に染みてわかる。
これからは、もう少し、患者さんに優しくしよう。
2007.9.4
院長のつぶやき医師会推薦候補の落選
参議院の選挙で医師会が推薦した武見敬三氏が落選した。
安倍政権の失政に対する批判が最大の原因でしかたないな、と思う。
もともと、私などは別に武見氏を熱烈に応援していたわけではない。
医療 費を見境なしに削減するような政治に反対していくためには、
医師の代表を国会に送る必要があると考えただけだ。
本来は、医師の代表が自民党政治に完全に組み込まれる形で
活動することは好ましくない。ほかのことにはなるべくタッチせず、
医療問題の専門家であることが望ましい。現実の政治の中では、
与党においてそれなりのポストを得なければ仕事ができないという事情は
よくわかるのだが。
それに、そもそも、武見氏は医師ではないから、医師の代表として
ふさわしいのかどうかもよくわからない。あの武見太郎氏の息子とはいえ、
畑違い の人で、選挙対策のために医師会に接近したように見える。
できれば、医師 の代表は医師であってほしい。
武見氏に対して、産婦人科では看護師内診問題で玉虫色の決着を
図ったことに対する批判が絶えなかった。また、選挙対策で柔道整復師に
接近したがその姿勢を整形外科医は非難していた。医師会長の選挙の
しこりもあったら しい。
要するに、医師がそろって医師会推薦候補を支持するような状態では
なかった。
選挙で票になるかどうかで動く「いかにも政治家」という人ではなく、
長年医師として働いて苦労してきた人が、純粋に医療を良くしたいという
思いから政治を志してほしい。そして、そういう志を持った人が政党の枠を
超えて活動することができたらどんなに良いかと思う。
院長のつぶやき医師会推薦候補
参議院の選挙が近づいてきた。こういう時期になると、医師会から
医師会推薦候補を応援しろというお達しが届く。
今までは聞き流していたが、今回はちゃんと投票に行こうと思っている。
学生時代から、政治とは距離をおいてきた。政治思想の違いから内ゲバが
おこるのを見ながら育ってきた世代で、イデオロギー云々がからむ問題は
敬遠してきたし、特定の政治団体を支持することも避けてきた。
だから、医師連盟(医師会が政治活動を行うための団体)から政党入党や
政治家後援会入会を依頼されてもすべてお断りしてきた。
ただ、昨今のいろいろな医療問題をどう解決するか考えていくと、
やはり政治の力が必要だと痛感する。
・地方や特定科における医師不足の問題しかり。
・新しい治療法や検査法がなかなか健康保険の対象にならない
問題しかり。
・無過失補償制度を導入する問題しかり。
・医師法・母体保護法などの法律の不備が長年是正されない問題しかり。
こういう問題は、政治家が取り上げ、動いてくれないとどうにもならない。
少数の声では無視され、放置されてしまう。何か事件がおこってマスコミが
取り上げ、世論が盛り上がれば違うのだろうが、それを待っていたのでは
遅きに失する。
政治家の論理は簡単だ。自分を支援し、票を集めてくれる人のために働く。
そうであれば、いろいろ不満はあっても医師会推薦候補を
応援するしかないのかな、と思う。
だが、今は院長が号令をかけたからといって、スタッフがみんなその通りに
投票するという時代ではない。政党支持や思想信条にまで院長が
立ち入ることはできない。誰に投票したか聞くことさえまずいだろう。
おまけに、看護師には看護協会なるものがあって、看護協会推薦候補が
いるらしい。
看護師数は正看・准看・助産師など合わせると100万人を超し、
医師の4倍くらいいるから数ではとてもかなわない。
医師の考え方は多様で、執行部の方針に賛成しない人も多い。
私同様、政治とは距離をおいて、医師は目の前の患者をみることに
専念すべきだ」と考えている人も多い。だから、医師の数ほどには
医師会推薦候補に票は集ま らない。
私も今まで投票したりしなかったりだった。
だが今は、医師会推薦候補が落選して医師の声が国会に
届かなくなったら、医療危機がもっと深刻化するのでは、と感じている。
何しろ政府は出費を抑 えることしか念頭にない。「改革という名の改悪」が
まかり通ってしまいそうなのだ。
もっとも、医師会推薦候補(全国区)以外はまだ迷っている。
医師の声を代弁してくれるなら、本来は自民党でも民主党でも
かまわないはずだが。
院長のつぶやき息子の虫垂炎
息子が6月11日(月)に虫垂炎で手術をした。
家内(副院長)が看病のため3日間休診し、私1人で診療することになった。
この間、患者さんには大変ご迷惑をおかけした。
外来は混雑したし、時間のかかる検査は後回しにさせていただいた。
せっかく来院されたのに、張り紙を見てお帰りになった方もいらっしゃった。
この場を借りてお詫び申し上げます。
たかが虫垂炎(俗に言う盲腸)だが、いざ身内が病気になると大変だ。
手当が遅れると、穿孔して腹膜炎をおこすこともある。
息子は神戸にある灘中に入り、下宿生活をしている。腹痛をおこしても、
親はなかなか子供の状態がわからない。
下宿の大家さんが産婦人科の先生で、早めに「虫垂炎かも知れない」と
判断 して知り合いの外科の先生に連れて行って下さった。そのうえ、
幸運なことにたまたま学校の保護者会があって、家内が学校に行っていた。
新幹線で家内が息子を名古屋まで連れて帰った。
看病や付き添いのことなど考えればそのほうがよいと思った。
井上医院・井上先生のご尽力で大同病院ですぐに
手術していただくことができた。
術後見せていただいた虫垂はずいぶん腫れていた。
もし、大家さんが外出していたら・・・
もし、家内が神戸に行っていなかっ たら・・・
最悪、腹膜炎をおこして神戸で緊急手術になり、治療も長引いたに
違いない。
1週間以上、患者さんにご迷惑をおかけすることになったかも知れない。
こんなこともあるから、中学生の子供を遠くに下宿させるというのは、
心配が尽きない。親は腹をくくる必要がある。そして何より子供に十分な
覚悟がなければやめたほうが無難だ。
娘は名古屋の中学にしてよかったと思う。
不幸中の幸いで、息子は順調に回復しております。
お世話になった方々、ご心配をおかけしたみなさんに深く感謝いたします。
本当にありがとうございました。