院長のつぶやきスギは完封、ヒノキには反応
数日前から時々くしゃみが出る。ヒノキの花粉症だ。
数年前からスギ花粉エキスの注射を続けている。
スギに対してはもう完全に症状が出なくなった。
長い長い道のりだったが、確かに効果はあった。
アレルギー免疫療法で私はスギ花粉症を克服した。
だが、患者さんには勧めない。
忍耐が必要だ。
スギ花粉が飛ばない季節でも、ずっと注射を打ち続ける。
言うは易し、行うは難し」
最近はスギ花粉症の症状は全く起こらなくなった
花粉症の時期でも、マスクも花粉予防ゴーグルもなしで過ごせる。
完封である。
ところが、今までより遅い時期に、軽い鼻炎の症状が出る。
なるほど、ヒノキの注射はしていないから、反応が出るのだ。
ちょっとがっかりだが、仕方ない。
症状はきわめて軽い。
スギ花粉とヒノキ花粉は似た構造をしているという。
だからスギ花粉の注射がヒノキ花粉にもある程度効くのだろう。
今は注射でなく、「舌下免疫療法」もある。
始めるなら、今年の花粉症シーズンが終わってからがお勧め。
来年の花粉症シーズンに楽がしたいなら、早く始めたほうが良い。
うちではやっていないけど、内科や耳鼻科などでやってくれる。
当院の近所では、ごうクリニック、まつおかクリニックなど。
対応施設は鳥居薬品のウェブサイトから検索できる↓
http://www.torii-alg.jp/mapsearch/
(2017. 4.23)
院長のつぶやき花粉症の時期に外来が混む理由
ここのところ、スギ花粉の飛散が多い。
花粉症の時期には眼科は混む。
花粉の量と比例して混むのだろうか?
答えはNO。
花粉の量が少ないうちはほとんど受診しない。
「かゆみを我慢できる限度」を超えると急に増える。
そこにははっきり段がある。
だから、花粉量の増減を増幅した形で患者数が増減する。
花粉症患者が多い年と少ない年の差が大きい。
ここ1週間、急に花粉の飛散が増えた。
徐々に増えたときはそんなに患者さんは増えない。
急に多くなると受診につながりやすい。
花粉症だけなら、1人にそれほど時間はかからない。
外来が混雑する大きな原因は「ついで受診」
例えば、6ヶ月間隔、1年間隔で定期検査が必要な患者さん。
いつ受診するか予約制ではない。そうすると、
「目が痒いから受診しよう、ついでに定期検査も受けよう」
というのは人情だ。
定期検査では多くの場合、散瞳が必要で検査メニューも多い。
どうしても時間がかかる。
そういう人が何人も重なると、どうしても混雑する。
解決策は難しい。「ながら受診」を禁止する訳にもいかない。
この時期、受診される方は、混雑は覚悟しておいて下さい。
(2017. 3.22)
院長のつぶやき労働条件が良ければ良い人材が集まる
先日24時間営業をやめる動きに賛成と書いた。
深夜勤務は働く人に相当な負担を強いる。
人間には体内時計というものがある。
深夜勤務は体内時計を狂わせる。
体内時計はそう簡単にはリセットできない。
昼間の勤務と深夜の勤務が交互に来るというのは
どう考えても人間の生理に反しているのだ。
不規則な勤務は不眠を招き、心身の様々な不調につながる。
血圧や血糖にも影響する。高血圧や糖尿病の危険が高まる。
うつ病を発症する人も出てくる。
働く人の健康を犠牲にしてまで
利便性を追求するのは問題があると思う。
もちろん、現代社会では全く深夜勤務をなくすことはできない。
それは認める。
ただ、なるべく深夜労働を減らす方向に向かうことはできる。
深夜労働には健康リスクを加味した賃金が与えられるべきだ。
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今日、労働環境/労働条件は非常に重視されるようになった。
いくら給料が良くても労働条件が悪い職場は避けられる。
過労死に追い込まれたら何にもならないから。
看護師さんが足りない。
夜勤をすれば給料は高い。でも夜勤の仕事はきつい。
不規則な勤務がたたって身体を壊す人もいる。
夜勤を避けて日勤だけの診療所を選ぶ人も増えた。
給料は安くなるが、身体は格段に楽だ。
医療機関の診療時間。
名古屋では「午前中と夕方」というところが多い。
中抜きパターンなどという。
午前中は主婦や高齢者、夕方は職場帰り・学校帰りの人。
ニーズに応えた診療方式なのだが、問題がある。
そこで働く人にとっては自分の時間が取りにくくなる。
昼休みが長いが、その時間を有効利用することは難しい。
帰宅が遅くなり、既婚女性ではフルタイム勤務は無理。
結果として、パートタイムの職員が多くなる。
午前中だけ、夕方だけで働く。
合理的に見えるが、そうそう上手くはいかない。
夕方だけのパートがなかなか見つからないのだ。
四苦八苦してようやく見つける。
だが複数の候補者から選ぶわけにはいかない。
「できる人」でなくても来た人を雇うしかない。
川本眼科は午後5時終了だ。不便だという声は良く聞く。
ただ、実は5時終了のおかげで人材には恵まれた。
複数の応募者から最も優秀な人を選べる。
また大多数のスタッフをフルタイム勤務者にできた。
パートより仕事に習熟し、責任感も強い。
さらに、途中退職が少なく、ベテラン揃いにできた。
労働条件が良ければ良い人材が集まるのだ。
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深夜勤務をなくせば外食産業の労働条件は改善する。
きっと今より良い人材が集まってくるに違いない。
それでサービスが改善すれば評価も上がる。
疲弊しきっていたら、笑顔も出ないではないか。
(2017. 3.06)
院長のつぶやき依存性のない睡眠薬
不眠で悩んでいる人は多い。
特に高齢になると何らかの睡眠障害に悩んでいることが多い。
寝付きも悪くなるし(入眠障害)、眠りは浅くなる(途中覚醒)。
眠れないと、翌日がつらい。
眠気やだるさで仕事にならない。
大事な会議の最中に睡魔に襲われたりする。
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不眠に悩むと睡眠薬に手を出したくなる。
今一番使われているのはベンゾジアゼピン系睡眠薬。
効果の短いもの、長いもの、種類がたくさんある。
ハルシオン、デパス、ユーロジンなど。
安全性も高く、たくさん飲んでも死ぬ心配はない。
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬というのもある。
マイスリー、アモバン、ルネスタ。
今のところ作用時間が短いものしかない。
日中の眠気やふらつきといった副作用を抑えている。
それでいて効果はベンゾジアゼピン系とほぼ同等。
ただ、抗不安作用はないので使い分けが必要。
薬価も高い。
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確かに、これらの睡眠薬は有効だ。
必要な時に確実に効くから、重宝する。
ただ、問題がある。依存性があるのだ。
要するに、睡眠薬なしではいられなくなってしまう。
いったん睡眠薬に頼るようになると、離れられない。
睡眠薬を飲まないと全く眠れなくなってしまう。
しかも、だんだん効きが悪くなって量が増える。
依存性は麻薬や覚醒剤ほどには強くない。
だから、努力すれば依存から離脱はできる。
でも、依存から脱するまでは相当につらい思いをする。
(タバコを吸う人が禁煙するようなもの)
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依存性のない睡眠薬はないものか・・・ある。
今使えるのは2種類。
ロゼレムとベルソムラ。
先日、NHKのガッテンという番組で紹介された薬。
NHKなので商品名は出さなかったが、これに間違いない。
(ただし血糖を下げるために睡眠薬を使うのは問題あり)
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ロゼレムは「メラトニン受容体作動薬」という薬。
メラトニンは体内時計に関係するホルモン。
自然な眠りを催す薬で、きわめて安全。
時差ぼけで体内時計が狂った時にも効きそうだ。
依存性は全くない。その他の副作用もほとんどない。
ただ、残念なことに効果が弱い。
確実に眠れるわけではない。
だから、逆に毎日飲み続けるのに適している。
漢方薬みたいな感覚。体質改善薬と思えばよい。
寝る直前にのみ、部屋を暗くしないと効きにくい。
なお、併用してはいけない薬がいくつかある。
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ベルソムラは「オレキシン受容体拮抗薬」という薬。
オレキシンは人を眠りから覚醒させるホルモン。
ベルソムラはオレキシンの働きを邪魔する薬。
依存性はない。これはうれしい。
翌日のふらつきや健忘もない。高齢者には望ましい。
ただ翌日日中の眠気が残ることはあるようだ。
また、まれではあるが悪夢を見ることがあるという。
効き目はベンゾジアゼピン系よりは弱い。
でもロゼレムよりは強い。
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あらゆる要求を満たした理想の睡眠薬とは言えない。
効き目が弱いと不満を感じる人も多いだろう。
でも、依存性がないのは大きなメリットだ。
依存性を恐れて睡眠薬を我慢している人は多い。
そういう人には第一選択になるのではないか。
(2017, 3. 1)
院長のつぶやき24時間営業をやめる動き
最近、レストランなどで24時間営業をやめる店が増えているという。
利用者にとっては不便になる。
しかし、これは私は健全な方向だと思う。
24時間営業のためには誰かが深夜営業をしなければならない。
これは健康に悪い。人間の生理に反している。
みんなが「人間らしい働き方」ができたほうがよいに決まっている。
そのぐらいの不便は我慢しよう。
夜12時くらいまでやっていれば十分ではないか。
(2017. 2. 6)