院長のつぶやき何でも謀略で説明する奴は信用するな
世の中に「謀略論」は多い。
インフルエンザワクチン反対派はメーカーが儲けるための謀略だと主張する。
子宮頚癌ワクチンもメーカーの謀略だそうだ。
感染症そのものを謀略と言い出す人も必ずいますな。
昔、オウム真理教も破壊活動を米軍の謀略と攻撃に対する抵抗だと正当化していた。
信者をサティアンに閉じ込めていたのは米軍の毒ガス攻撃から身を守るためだったそうな。
医師もそういう類のいわれのない非難を受けることがある。
医師同士はみんな裏でつながっていて口裏を合わせている、とか。
教授が汚い手を使って学閥支配、患者はモルモット・・ってドラマの見過ぎ。
古くはユダヤ人謀略説があった。政治も経済もユダヤ人が裏で操っている・・
ユダヤ人に対する反感がホロコーストの遠因となった。
もっとも今のイスラエル諜報機関の活動は謀略に近い感なきにしもあらずだが。
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謀略論というのは便利だ。
元々が無理な理屈はすぐ矛盾が出る。事実と合わない点が出てくる。
あるいは常識に照らしておかしいと感じられる。
そういう場合でも、謀略のせいにすればたいていのことは説明がついてしまう。
だから、鋭い指摘を受けて反論できない人はすぐ謀略論を持ち出す。
誰かが謀略を仕掛けていると信じさせれば、後は何でも説明可能にになる。
謀略論は「超便利」なのだ。
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逆に言うと、謀略を言い出した人の言うことは信用しない方がいい。
99%まで、論理の破綻を隠すためだからだ。
(2011.3.3)
院長のつぶやきADR(裁判外紛争解決手続き)
ADRとは、裁判によらず第三者が間に入って紛争を解決しようとする方法をいう。
Alternative Dispute Resolution の略。
もともと裁判がやたらと多い米国で生まれ、発達した制度である。
日本では2004年に「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」ができた。
法律で認証された紛争解決事業者があっせん、調停、仲裁を行う。
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医療分野の認証事業者としては「特定非営利活動法人 医事紛争研究会」がある。
ただ、ここは千葉県にあるから愛知県の人間が利用するのは難しそうだ。
愛知県だと「愛知県弁護士会」くらいしか見あたらない。
裁判には金も時間も労力もとんでもなくかかる。ADRなら安く早く解決してくれそうだ。
問題は実績に乏しいこと。医療の知識は十分か、本当に公平中立なのか。
誰しも不安を感じるだろう。不安だと依頼しない。依頼がないと実績が積めない。
今のところはまだそういう状態にあるが、今後に期待したい。
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医事紛争で問題なのは、損害賠償でお金がからむことだ。
ADRで当事者の合意が得られても、保険会社が支払ってくれる保証がない。
保険会社は、会社を通さずに勝手に和解した場合は保険金を支払わない。
ということは、保険会社が事前にADRの結論に従うと同意していることが必要になる。
交通事故に関しては実際にそういう仕組みができているという。
交通事故紛争処理センターの結論には損害保険各社とも従うことになっているのだ。
残念ながら医事紛争ではそういう仕組みになっていない。
つまり、多額の賠償責任がからむ医事紛争でADRを利用するのは無理がある。
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医療法で「医療安全支援センター」というのが全国に設置されている。
苦情や相談程度ならここが一番使えそうだ。
でも、損害賠償請求となるとやはり裁判しかあるまい。
(2011.2.22)
院長のつぶやきエジプト政変と憲法
エジプトで政変があり、2月11日ムバラク大統領が辞任した。
現行憲法では60日以内に新大統領を選ぶことになっていた。
しかし、立候補制限など現行憲法には問題があり、野党勢力や国民が納得しない。
そこで超法規的に現行憲法は停止され、新憲法を作った上で大統領選をするらしい。
このニュースに、日本の憲法の場合どうなるか考えた。
日本国憲法は極めて厳格な改正手続きを定めている。
衆議院・参議院ともに総議員の3分の2以上が賛成して憲法改正が発議され、国民投票にかけられて過半数の賛成で成立する。
これは無茶苦茶ハードルが高くてほとんど憲法改正を禁止しているに等しい。
しかし、民主主義の原則から言えば、「国民の過半数の支持」こそ最高規範のはずだ。
国民投票で過半数を取れば「旧憲法を廃止し、新憲法を制定する」ことは可能なはず。
つまり改正でなく新憲法制定なら国会の発議は要らない。
そもそも今の日本国憲法の制定過程にも問題が多いことは昔から指摘されている。
「欽定憲法から改正した体裁」とか「当時の米国の意向が強く反映」とか。
制定過程に問題があっても国民が支持している限りにおいて憲法は権威を保つ。
逆に、国民が明確な意思を示せば3分の2以上などという規定は意味がない。
「現在の国民」が最終的に過半数の賛成で示した意思を否定することを許せば、民意が国家統治のあり方を決めるという民主主義の根幹を否定することになるからだ。
こんなことを書くと、日本では「護憲派」から抗議や攻撃を受けそうだが。
ちなみに私は「憲法第9条」を現状のまま維持することに賛成だ。念のため。
(2011.2.16)
院長のつぶやきバレンタインチョコ
今年も2月14日はやってきた。やや下火のバレンタインデー。
昔のように義理チョコをばらまく人はいなくなった。本命にしかあげないらしい。
今流行は女の子同士の友チョコだとか。娘もいくつももらってきた。自分はあげずもらうだけ。
私も若い時は結構たくさんもらえたが、今はダメだ。
患者さんでチョコを下さる方も昔はいらっしゃったが、ここ数年は皆無ですな。
もちろんたくさんもらったって食べきれないし、本当はチョコよりせんべいのほうが好き。
それでも、もらえないとちょっと寂しい。
ただ、義理堅いスタッフは院長に気を遣って毎年毎年連名でチョコを下さる。
ありがとう。おじさんに対する殊勝な心がけです。
夜、貴重なチョコをかじる。うん、美味。(^o^)
来年もちゃんともらえるように、お返しの食事会を忘れないようにしないとね。
(2011.2.14)
院長のつぶやき河村たかし氏圧勝
愛知県知事選、名古屋市長選、名古屋市議会解散住民投票のトリプル投票で、事前の予測通り河村氏側がすべて圧勝した。
マスコミ報道を見ながら、既視感を覚えた。
ああ、これは小泉郵政選挙と一緒だ、と。
きわめて単純な争点を提示し、他の問題はあえて無視する。
減税に反対する人は普通いない。私だって減税して欲しい。
でも、だからと言って減税以外の問題に白紙委任状を渡してよいものか?
減税以外まともな議論が行われたとはとても思えないのだが。
小泉郵政選挙の後も、世間の風潮に流されて投票して後悔した人は多かった。
「風」で選挙結果が決まることに危うさを感じる。
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理想に燃えた革命という名の破壊の後に独裁や腐敗がやってくる例は枚挙に暇がない。
ロシアも、キューバも、カンボジアも、アフリカ諸国も、イランも。
破壊の跡にきちんとした不正のない権力機構を構築するのは結構大変なことなのだ。
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減税して赤字になって借金がふくらむことはないのか。
減税で公共サービスが削減されることはないのか。
治安が悪化するようなことはないのか。医療にしわ寄せは来ないか。
給料を半減された議員が収入を求めて企業や圧力団体と癒着することはないのか。
心配し出すときりがない。
私の懸念が杞憂に終わることを祈る。
(2011.2.7)