川本眼科だより 48「患者が決めた!いい病院」 名古屋で1位 2004年2月29日
昨年暮れに、「患者が決めた!いい病院 患者11万人アンケート 近畿・東海版」という本が出版されました。
この本で、川本眼科は、東海地方の眼科部門で9位にランキングされました。名古屋市の中では堂々の1位です!!
思いもよらぬ高い評価をいただき、びっくりいたしました。これまでの努力が報われたように感じます。
これも、患者様のご支持があったからこそです。この場を借りて深く感謝申し上げます。
東海地方で9位、名古屋で1位
「患者が決めた!いい病院」は、近畿・東海版(患者11万人アンケート)と関東版(患者9万人アンケート)に分かれています。
川本眼科は、東海地方(愛知・三重・岐阜・静岡)の眼科部門で9位となりました。名古屋市だけでみれば堂々の1位です!
考えてみると、これはすごいことです。名古屋市内には、名大、名市大などの大学病院もあれば、中京病院・八事日赤などの基幹病院もあり、開業医でも三宅眼科・杉田眼科という有名な眼科病院があります。そういう大病院を差しおいて川本眼科が1位になってしまったのですから。
高い評価をいただいたのはうれしいことで、これまでの努力が報われたと感じます。ありがとうございました。
いとこの病院も脳外科で1位
また、私のいとこが院長をしている京都九条病院は、近畿地方(大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山)の脳神経外科部門で1位でした。
これもすごいことです。救急を中心とした地域医療活動が評価されたのでしょう。
患者さん11万人にアンケート
「患者が決めた!いい病院」という本は、オリコン・メディカルという会社が作りました。親会社のオリコンは、音楽の市場調査をしてヒットチャートを発表している会社です。要するに、どんな音楽がどれだけ売れているのか調べてランキングを作るという仕事をしているわけです。
その音楽の市場調査という手法を、医療機関のランキング作成に応用したのがこの本です。
インターネットで患者さんにアンケートをして、「ここはお勧め」という医療機関をあげてもらい、10票以上を獲得した医療機関について、「医療水準」「医師の説明」「スタッフの親切さ」「設備の清潔さ」「待ち時間」などの項目に点数をつけてもらい、最高点と最低点はカットして集計したということです。
特徴的なのは、医療サイドの意見や情報は全く考慮していないことです。また、どんな治療ができるか医療内容を客観的に評価しているわけでもありません。患者さんがつけた点数を単純に集計して何ら加工せずに点数順に並べたわけです。
若年者・軽症者に偏る?
こういうアンケートの結果を評価する際に大切なのは、どういう人を対象にアンケートしたのかということです。もともとの回答者に偏りがあれば、結果にも偏りが出てしまいます。
このアンケートの対象は、インターネットでモニター登録をしている方のようです。はっきりとは書いてありませんが、おそらく、「アンケートに回答すれば抽選で景品がもらえる、何かのポイントがもらえる」といった形でモニターを募ったものでしょう。
そうすると、どうしても回答者は比較的若い方で、医療機関にかかったことがあるといっても比較的軽い病気で受診した方が多いだろうと想像できます。高齢者でインターネットを積極的に利用されている方は少ないからです。実際に眼科を受診される患者さんは高齢者が多いわけで、年齢分布に偏りがあると予想されます。
ものもらいや結膜炎などの比較的軽い病気で受診した若い方と、治るということがない慢性疾患で継続して通院する高齢の患者さんでは、評価も異なるでしょう。
軽症の患者さんが大病院を受診した場合、「待ち時間が滅茶苦茶長い」「説明が短い」「近くの開業医に行けと言われた」などという不満が出るでしょうし、どうしても大病院の印象は悪くなりがちです。
そういうことが、この本で、大病院よりも開業医のほうが上位になっている理由だと思います。
人気投票と実力
この本は、要するに患者さんによる医療機関の人気投票です。
人気投票で上位にくるのは、必ずしも実力があるかどうか示しているわけではありません。
音楽(とくにポピュラー系)の場合なら、人気があるということは一番大切なことで、それでランキングを作るのは当然だと思います。それ以外の評価方法は思いつかないくらいです。
医療の場合は、当然のことながら、人気投票が医療機関を評価するのに最も適切な方法とは思えません。人気があるかどうかよりも、患者さんを治す腕がよいかどうかが大切です。
しかし、医者の腕の良し悪しを客観的に評価するというのも困難なことです。以前の川本眼科だよりにも書いたように、今までにも名医を紹介する本がたくさん出ましたが、問題が多く、今のところお勧めできるような本はありません。
結局、医師については患者さんの間の評判のほうが頼りになることもあるのです。そういう「医師の評判」を本にしたわけで、こういう評価軸もあって悪くはないでしょう。少なくともその医療機関にかかった患者さんの満足度はわかります。大学病院や基幹病院がランキングの上位に来ていないのは、患者さんの不満の表れとみることができます。
人気はないよりあったほうがよいのです。あまりに不人気なのは、何か問題があると考えることができます。
要するに、このランキングを唯一絶対のものなどと考えず、どのような評価方法をとっているのかわきまえた上であれば、参考になるデータだと言えます。
2004.2