川本眼科だより 166急病センター 2013年11月30日
名古屋市医師会は「急病センター」を運営しています。(東区葵1-4-38 052-937-7821)
以前は「休日急病診療所」という名前でしたが、建物を改築したのを期に名前を変更しました。
夜間や休日に病気になった場合はここに受診することになります。とくに年末年始はほとんどの医療機関が休診しますから、急病センターに頼らざるを得ません。
名古屋市の救急はセンター方式
救急と言っても様々です。比較的軽症の病気は1次救急、入院や手術が必要なら2次救急、命に関わる時は3次救急、と分けています。
一般的に、1次救急は開業医が担い、2次救急は夜間でも手術可能な大病院が対応し、3次救急は救命救急センターが高度な医療を提供します。
1次救急には「当番方式」と「センター方式」があります。
当番方式は、各医療機関が当番制で休日や夜間に自院を開けて診療するというやり方です。患者さんにとっては、どこで診療を受けられるかわかりにくいのが難点です。医師はよそに出かけるよりやりやすいのですが、職員は休日出勤で代休も普通取れないので疲弊します。
センター方式は、休日だけ開く救急専門の診療所を作り、医師が交代で診療するというやり方です。いつも同じ場所ですから患者さんにはわかりやすい方式です。都市部では一般的で、大部分は地域の医師会が運営しています。名古屋市の場合、名古屋市医師会館内に「急病センター」が健診センターとともに設置されています。
内科は各区に休日急病診療所
名古屋市の場合、内科・小児科に関しては各区に「休日急病診療所」があります。内科系の病気は一番多いですし、医師のほうも一定人数を確保しやすいことから、それぞれの区で対応するようになったようです。
例えば、名古屋市南区の休日急病診療所は大江駅のそばにあります。(南区西又兵ヱ町4-8-1)電話は052-611-0990です。
ほとんどの区では名前通り休日だけ開けるのですが、南区・中川区・守山区では平日夜間も診療しています。
名古屋市医師会急病センター
眼科では本当に緊急性のある救急はまれですし、内科に比べて眼科医は少ないので、名古屋市内で1ヶ所だけ、「名古屋市医師会急病センター」で日曜祝日・年末年始の救急対応をしています。
ここの特徴は、普通の診療所と同じように、医師も看護師も診察がすぐできる状態でスタンバイしているということです。ですから、比較的軽い病気でも気軽に受診できます。
たいていの病院では、急患に対して、回診中の医師に中断してもらったり、当直で仮眠中の医師を起こしたり、自宅待機中の医師を呼び出したりして対応しています。この場合、医師は「重症は仕方ないけれど、軽症なら休み明けまで待って通常の診療時間に受診してほしい」という気持ちを持っていると考えて間違いありません。
ただ、患者さんにしてみれば、すぐ受診したほうがよいのか待っていてよいのか判断できないことが多いでしょう。そういう時に、この急病センターへの受診をお勧めします。
眼科専門医が緊急性の判断をして、とりあえずの応急処置はしてくれますし、必要があれば2次救急を紹介してくれます。安心ですね。
なお、ここでは耳鼻科も休日診療をしています。また、内科は平日深夜(翌朝6時まで)も救急対応しています。
原則として応急処置のみ
急病センターでは原則として応急処置しかしません。翌日はお近くの医療機関を通常の診療時間帯に受診するのが約束事になっています。
例えば、処方する薬は1日分だけと決められています。翌日以降は必要なら近医で処方してもらうわけです。もっとも眼科の場合、目薬は1本で1週間くらいはもちますから、1日分という制限はあまり意味がありませんが。
そういう制限を設けておかないと、本当は救急でないのに「休みの日に開いてて便利だから」と受診する人が出てくるのです。コンビニ受診などと呼ばれて昨今大問題になっています。そういう困った人が増えれば救急医療が必要な真の急患に手が回らなくなる恐れがあります。休日や夜間は医療側にマンパワーが少なく、余裕がないことを理解していただきたいと思います。
実際に診療してみると
名古屋市医師会急病センターは開業医が輪番で診療を担当しています。年末年始はありがたいことに大学病院の若い先生が出務して下さいます。
私(院長)も順番が回ってくると急病センターに出かけて診療します。自分の診療所とはずいぶん勝手が違います。機械のスイッチの位置も違いますし、レンズなど小物の配置も違います。処方したい薬がないこともあります。介助してくれる看護師も私の診療の癖を熟知した自院職員ではありません。正直なところ、慣れない場所での診療は結構ストレスが大きいものです。
大勢の患者さんの中には急病センターの趣旨を勘違いされている方もいらっしゃいます。逆さまつげを抜いてほしいとか、白内障や緑内障はないかとか、既に他院にかかっているのに心配で相談に来たとか・・逆さまつげくらいなら抜きますが、普通は今後どこにいつ受診したらよいか説明をしてお引き取り願っています。こういう病気も診てもらえると誤解されると肝腎の救急業務に支障をきたしてしまいますから。
中京病院の救急体制
急病センターの眼科救急は休日のみです。夜間に具合が悪くなったら、2次救急を担当している大病院にかかるしかありません。ただ、大病院でも眼科医が夜間も常駐していることは少なく、大半は必要に応じて呼び出すという体制です。
例として、中京病院の場合を説明いたします。中京病院では、急患には「救急科」がまず対応します。救急科の医師はふつう眼科は専門ではありませんが、「目にゴミが入った」とか「コンタクト長時間装用で目が痛い」とか、それほど急を要さないケースが大半を占めますから、目薬を出したり眼軟膏を入れたり応急処置をして翌日あらためて眼科を受診していただくことになります。
救急科が必要と判断したら眼科医を呼び出します。緑内障発作だとか、外傷で手術が必要だとか、緊急性がある場合に限られます。
川本眼科は中京病院眼科との関係が深いのですが、急病センターが開いている時間帯なら、最初から眼科医に診てもらえるという点で、中京病院より急病センターを受診することをお勧めします。
名古屋市医師会急病センター 眼科の受付時間
日曜・祝日・年末年始(12/30~1/3)
9:30-12:00 13:00-16:30 17:30-20:30
※診療は受付開始時間の30分後から
(2013.11)