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川本眼科だより

川本眼科だより 178電話帳広告やめます 2014年11月30日

川本眼科は広告をどんどん減らしてきました。今では、厳選したごく一部を除き、ほとんど広告を出していません。

ただ、電話帳広告だけは開業当初から20年にわたり継続してきました。電話帳には単なる広告以上の意味合いがあって中止しづらかったのです。でも、ついに来年からはやめることにしました。

今回は、電話帳(タウンページ)をめぐる社会状況の変遷を振り返り、医療機関の広告が今後どうなるかを考えてみます。

開業当初に広告は必要

どんな分野のサービス業でも同じだと思うのですが、開業した時にはまだ誰も存在を知りません。従って、開業当初には近隣住民に周知するために広告は必要不可欠です。

川本眼科でも、開業時には新聞チラシを出しました。費用はかなり高いので、どの範囲にチラシを配るのか、ずいぶん悩んだことを思い出します。お金をかけても大半はろくに読まれずにゴミ箱行きだったのでしょうけれど。

広告代理店は次から次に提案をしてきます。電信柱、交差点などの看板、バスの停留所、バスの車内放送、郵便局で渡す袋、エコーはがき、医療マップ、駅の案内地図、回覧板フォルダー、地下鉄の壁面、植木、ウォータークーラー、週刊誌、インターネットで検索した際の表示・・・本当にきりがありません。1つ1つはそれほど高くなくても、数が増えれば広告費用は馬鹿になりません。しかも広告の効果を測ることは難しく、本当に必要なのかどうかもわからないのです。

広告を減らしてよいのか?

開業して時間が経てば、だんだん人に知られるようになっていきます。そのぶん広告の必要性は少なくなります。それでも、名前を知られたら広告は不要という訳にはいきません。有名な大企業でも、誰でも知っている製品でも、広告を繰り返したほうが売上は伸びるのです。広告を全くしなければ売上は激減です。

医療の世界でも、広告には一定の集患効果があると信じられています。ですから、広告を中止したら患者さんが減らないかが心配です。

川本眼科では、広告の提案があまりに多いため、当初から提案の半分以上はお断りしてきました。開業10年目くらいから、恐る恐る既存の広告を減らし始めました。

やってみたら、患者数は変わりませんでした。徐々に減らし、途中からはだんだん大胆になって、どんどん減らしてしまいました。いくら減らしても、患者数には全く影響がありませんでした。何のことはない、患者さんは別に広告を見て受診するか決めている訳ではなかったのです。

電話帳でお店を探した時代

電話帳(タウンページ)は広告の中でも特別な地位を占めていました。例えば水道が故障した時、鍵の交換をしたい時、昔はまず電話帳を引っ張り出したものです。自分が住む地域にある同じ業種の店がほとんどすべて並んで掲載されていますから、なるほどお店を探すのに便利です。

電話帳の中でいかに目立つかの競争がおこり、広告スペースを大きくしたり、カラーにしたり、広告を出す側も力を入れていました。

医者を探す時にも電話帳が使われました。眼科にかかろうと思ったとき、電話帳には地域の眼科がほとんどすべて載っていますから、その中で選べばよいわけで、なるほど便利です。そういう使われ方をする限り、電話帳には広告を出さないわけにはいかないのでした。開業した年から20年間、毎年広告を出し続けました。

インターネットで検索する時代

インターネットの普及は、状況を大きく変えました。インターネットでの検索が非常に強力なので、人々は調べものをすべてネット検索に頼るようになりました。最初は若者だけでしたが、スマホが普及して、この傾向にさらに拍車がかかり、今では70歳、80歳の方でもネット検索を利用していらっしゃいます。

お店を探すのも、電話帳よりネット検索のほうが便利です。検索したらすぐにホームページを開いて詳しい情報を得ることができます。医療機関も例外ではありえません。病医院をネットで探すサービスも次々に誕生しました。

電話帳を使わなくなった

相対的に電話帳の地位は低下しました。電話帳を配られても次の発行までに一度も使わなかったという人が多くなりました。かさばって邪魔だから電話帳は要らないという声も耳にします。

そうなってくると、電話帳に広告を出すメリットは薄れてきます。電話帳広告は高く、1年間で数十万円もかかります。今の時代ならそれだけのお金をホームページの作成や充実に費やしたほうが効果的です。

何年も前からそのように考え続けていました。でも、インターネットは全く使わない、電話帳を利用するという人たちもいるので、電話帳広告を完全にやめることを躊躇していました。

思い切って電話帳広告中止

川本眼科の患者さんは増え続けています。外来が混雑して2時間待ちも珍しくなくなり、心がけてきた丁寧で詳しい説明も困難になってきました。

数年前にもはや広告は不要と判断し、全廃する決心をしました。それでも、いろいろ理由があって、医療マップなどごく一部は残しました。

電話帳広告は最後まで残していたのですが、それももう潮時と判断し、来年発行分はついにやめることにいたしました。

考えられる影響

既に川本眼科に通院中の患者さんには関係ありません。近隣の方も川本眼科の所在くらいはご存じだと思います。電話番号を知りたくなったとき、紙の電話帳では探しにくくなるかも知れませんが、番号案内104で調べることはできます。

パソコンやスマホやケータイがあれば検索して調べるのは簡単です。

新患の方でも、電話帳で探したという方は近頃皆無に近い状況です。一番多いのは知人や家族からの口コミです。

こうやって考えていくと、実はほとんど影響は無いだろうと思えてきました。電話帳が発行されて1年くらい経たないと影響は判断できませんが、恐らく何の問題も起きないと予想しています。

本当に何も問題なければ、もっと早く中止にすべきでした!  広告料がもったいなかった!

(2014.11)