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川本眼科だより

川本眼科だより 183テレビなしで過ごす 2015年4月30日

目の手術を受けると、テレビを見たり新聞を読んだりパソコンやスマホ等を使ったりすることが1週間ぐらい禁止されます。要するに、じっと何かを凝視することはダメです。

多くの人にとって、テレビは無くてはならない生活の一部になっているようです。「テレビがなしだと退屈で時間をもてあます。どんな風にすごせばよいのか?」というご質問をよくいただいます。これが一番苦痛だったという人も・・

そこで今回は「テレビなしにどう過ごすか」をテーマにしました。

術後1週間にトラブル集中

白内障など目の手術を受けると、1週間くらいテレビも新聞もパソコンも運転も禁止されます。術後のトラブルの発生は手術後1週間に集中しているので、この期間は大事をとっていただきたいのです。

じっと何かを見つめると、瞬きの回数が抑制され、角膜表面が乾きやすくなります。手術後は角膜にキズがあり、表面の涙が乾くとゴロゴロして目に異物が入っているような感じがします。いったんそうなると直るのに時間がかかります。乾くと細菌も侵入しやすくなると考えられます。

ただし、術後のキズの程度や涙の分泌量は人によってずいぶん違います。医師は安全に余裕をみて指示をしているので、調子が悪くなる人がいる一方で、禁止事項を守らなくても大丈夫な人もいます。9割の人が大丈夫でも1割の人に問題がおこるかも知れません。無茶をしてもたまたま大丈夫だった人の真似をしてはいけません。

友人・家族とおしゃべり

テレビが見られない期間の過ごし方として一番お勧めしたいのは、友人やご家族とおしゃべりをして過ごすことです。

別に家でじっとしていなければならない訳ではありません。お洒落な喫茶店でケーキでも食べながら趣味の話に興ずるも良し、旧知の友人宅を訪ねて思い出話に花を咲かせるも良し。ちょっと奮発してフランス料理を食べに行けば、会話を楽しみながら2~3時間はつぶれるでしょう。ホームパーティに参加するなんてことだって可能です。

電話も1つの方法です。一緒に住んでいない多忙な家族でも電話くらいできますよね!

ラジオを聴く

おしゃべりする相手がいなければ、ラジオを聴くのは定番の過ごし方です。民放のラジオは若者向けに偏っていて喧しすぎることが多いのですが、NHKのラジオ番組には中高年向けが多く、内容も大人が楽しめるだけの深みがあります。

ただ、最近はラジオを聴くことが極端に減っており、家にまともなラジオがないご家庭も多いようです。あまり安物では雑音ばかりで音質も悪く、長時間聴くには適しません。ちょっとばかり奮発して性能の良いラジオを買えば、後々まで重宝すると思うのですがいかがでしょう?

私はソニーのICF-A101というラジオを持っています。1万円近いお値段ですが、表示が大きいこと、音が聞き取りやすいこと、テレビのチャンネルのように選局が簡単なこと、など高齢者には扱いやすく、優れものだと思います。

電波状況が悪くてラジオが雑音だらけという場合はどうしたらよいでしょう? スマホやパソコンでNHKラジオを聴く「らじる☆らじる」というサービスがあります。雑音がないので音質は抜群です。インターネットを普段から使っていれば難しくはありませんし、誰かに頼む手もあります。術後はスマホもパソコンも操作禁止なので、BGMのように流し続けて聴くだけにして下さい。

音楽を聴く

音楽を聴くのもお勧めです。昔よく聴いて最近ご無沙汰のCDがありませんか? こういう機会にじっくり聴き直してみるのも一興です。昔懐かしいフォークソングとか、普段聴く時間が無いクラシックの名曲とか、ご家庭でコンサート気分を味わってはいかがでしょう?

もちろん、iPodでもいいですよ。好きな曲ばかりを集めて聴くのは最高の娯楽ですよね。

落語・朗読・語学学習なども

落語のCDを聴くのはいかがでしょう? 例えば「落語名人寄席4巻セット」という4千円ほどの商品がありますが、なんとCD40枚組です。古い録音なので音質はラジオ並みですが、十分に楽しめます。川本眼科でも1セット購入しましたので、ご希望の方に貸し出しします。

朗読のCDもあります。「銀河鉄道の夜」の朗読など非常に評価が高いようです。新潮CDなんてシリーズがあって、夏目漱石、太宰治、川端康成、芥川龍之介、向田邦子、司馬遼太郎、松本清張など、数限りなく用意されていて、好きな作家の好きな作品でも、読みそびれていた名作でも、選り取り見取りです。

語学の勉強だってできますよね。手術後にはテキストを読むわけにはいきませんが、聞き流すだけで勉強できるような教材もあります。昔勉強したことの復習ならテキストなしでできるでしょう。

事前の準備が大事

何もしないで安静にしていようとするから苦痛に感じるのです。「何もすることがない」というのは想像以上につらいものです。

退屈しのぎの手段は前述したようにいくらでもあります。ただ、いずれも前もって準備しておくことが必要です。2週間ほど目を使わずに過ごす対策を練っておきましょう。考えようによっては、普段できないことにチャレンジできる貴重なチャンスかも知れません。

参考ウェブサイト

ラジオ ソニーICF-A101
 http://www.sony.jp/radio/products/ICF-A101/

らじる☆らじる(NHKネットラジオ)
 http://www3.nhk.or.jp/netradio/

新潮CD(朗読)
 http://www.shinchosha.co.jp/mediashitsu/

落語CDをセットで大人買い
 http://allabout.co.jp/gm/gc/207028/

 
(2015.4)