川本眼科だより 184車の買い換え? 2015年5月31日
車好きの医師は多いようです。ポルシェやランボルギーニといった相当にマニアックな車に乗っていらっしゃる先生もいます。
私は正直なところ車にさほど思い入れはありません。安全で楽ちんな車が一番だと思っています。今乗っているセルシオはそんな私にぴったりで、今年で20年乗り続けています。さすがにもう買い換える時期と考え、情報集めの最中です。
大きい車と小さい車の衝突
独立行政法人自動車事故対策機構が、車の衝突試験を実際に行って安全性を評価し、公表しています。http://www.nasva.go.jp/
フルラップ前面衝突実験は、車を時速55kmでコンクリート製の障壁に正面衝突させる実験です。この結果をみると、軽自動車でも、クラウンみたいなデカくて頑丈そうな車と遜色ない点数を獲得しています。不思議ですね。点数が同じなら軽自動車もクラウンも安全性は同等なのでしょうか?
コンクリート壁に衝突させた時の衝撃は、全く同じ車を2台正面衝突させた時の衝撃と同じです。つまり、軽自動車同士で衝突した場合の安全性は確保されているという訳です。
実際の交通では、大きい車も小さい車も一緒に走っています。大きくて重い車と小さくて軽い車が正面衝突した場合、大きい車の損傷は軽微で、小さい車は大破します。これは物理法則で決まってしまうので、どうしようもありません。ベンツだって、大型トラックには負けるのです。
結局、衝突実験は同等の大きさの車同士の比較に過ぎず、「大きい車ほど衝突したときは安全」という大原則が厳として存在しているのです。
小さい車の利点
安全性だけを優先すれば、大きい車ほど良いことになります。ベンツのSクラスとか。でも、あまりデカい車はいろいろと不便です。
駐車場には小さい車ほど駐めやすいのは間違いありません。高さが1550mmを超えたり幅が1800mmを超えたりすると、多くの立体駐車場で駐車を断られます。背の高いミニバンや最近の幅広車の多くが引っかかります。平面駐車場ならたいていは大丈夫ですが、中には駐車スペースの幅が狭くて、幅広車では駐車に苦労することがあります。
例えば、私がよく行く中京眼科の職員用駐車場の幅はセルシオにはギリギリで、運転席のドアを十分に開けることもままならず、狭い隙間をやっとの思いでくぐり抜けないと外に出られません。もう10cm車幅が狭ければずいぶん楽なはずです。
ほかにも、狭い道のすれ違いは車幅が狭いほうが有利ですし、Uターンは小さい車の独壇場で、大きい車は何度も切り返しが必要で大変です。
加速が良いほうが楽
20歳代の頃ならいざ知らず、最近では他人に迷惑をかけないように大人しく走り、無茶はしないよう心がけています。峠道をすっとばして車を振り回すなんてこともしません。
それでも、車は馬力が大きい方が良いと思っています。車線変更だって、追い越しだって、高速道路への流入だって、安全のためにはすばやく加速してくれないと困ります。
私が運転免許を取って最初に乗った車は1200ccの中古のカローラでしたが、まことに非力でした。東京の混雑した道路状況では車線変更すら難しく、それはそれは気をつかいました。「馬力がない車は危険だ」と思い知りました。次の車はターボ付のブルーバードに乗り、馬力があって加速が良い車は運転が楽だと実感しました。
だから、私は今でも馬力のある車に乗りたいと思っています。税金が安くても燃費が良くても、非力な車は御免こうむります。
燃費性能は二の次
燃費は良いほうが、自分の財布にも、地球環境にも望ましいことは間違いありません。ただ、燃費が良い車に乗るより、車を使わないで歩いたり公共の交通機関を使ったりしたほうが、ガソリン消費を減らすには効果的だと考えています。年間2000km弱しか車に乗らない私は褒めてもらってもよいのではないでしょうか。
また、今乗っているセルシオは確かに燃費は良くありませんが、セルシオから燃費が良いハイブリッド車に乗り換えたら、地球環境に貢献したと言えるのでしょうか? 車を1台作ることが地球に与える負荷を考えたら、もう5年セルシオに乗り続けたほうがエコだと思います。もちろん、景気のためには、デフレ脱却のためには、どんどん新車に買い換えることが推奨されるのでしょうが。
さらに、燃費が良いとしてディーゼル車が復権しつつありますが、スス(排気微粒子)や窒素酸化物がガソリン車よりも多いという問題は、決して完全に解決した訳ではありません。欧州では省エネを理由にディーゼルを優遇したため、 PM2.5が増加し、大気汚染が悪化したそうです。
燃費より大事なことがある、と私は考えます。
最新の設備は確かに凄いが
20年もたつと車の常識もずいぶん変わります。
もともとエアバッグは正面にあって頭と胸を守るものでしたが、今は複数ついていて、膝も守るし、身体の側面も保護します。
バックモニターなんか当たり前、左側の縁石を映し出すモニターとか、走行中死角になる斜め後ろを見張ってくれるセンサーとか、よそ見をしていても前車に追突しない自動ブレーキなんて昔は夢物語だと思っていた装備まで実用化されました。最新の設備は確かに凄いです。
でも、そんなのが何も付いていなくても普通に運転できるのも事実。あれば便利ですし、事故になったら役に立つのでしょうが、通常はなくても別に困ることはありません。
いたわってもう少し乗ろうか
人と同じで車も高齢化してくると不具合が出るのは避けられません。その上、メーカーの対応も悪くなります。
エアコンの温度表示用の液晶は数年前に壊れてしまいました。交換したくても部品がないそうです。仕方なく、温度については人間様の体感センサーだけを頼りに操作しています。
メーカー純正のカーナビは地図の更新サポートが打ち切られて久しく、仕方なく後付けの安価なカーナビをダッシュボード上に設置しています。
スピードメーターの表示が0kmのまま動かないなんてことも起こりました。さすがにこれはまずいとトヨタに2回修理に出しましたが「症状が再現しない」と原因不明のまま戻ってきて、なぜかその後自然治癒しました。
最近では高速走行後に料金所などでエンストして焦りました。(AT車なのに!)修理に出しましたが結局原因不明で戻ってきました。
それでも、エンジンは快調で、乗り心地は良いし、車内はとても静かだし、最近出た新車と比べても遜色はないと感じます。正直、今の車で何も不満はないし、「車はこれでいいや」と感じていて、積極的に買い換えたいとは思わないのです。
ここまで苦楽を共にしてきた訳だし、だましだましにはなりますが、いたわってもう少し乗ろうと思います。そんなに長くは無理でしょうが。
川本眼科の駐車場で院長のセルシオを見かけたら「長い間お疲れさん。もう少し頑張れよ」と声をかけて上げて下さいね。
(2015.6)