川本眼科だより 190まぶたのケア 2015年11月30日
ゴロゴロ、ショボショボしませんか? 目が乾いた感じがしませんか? 目やにが出ませんか?涙がこぼれて困りませんか?
これらの症状の多くにマイボーム腺が関係していることが分かってきました。マイボーム腺はまぶたから油を分泌していますが、加齢に伴って働きが悪くなり、慢性の炎症を起こします。
加齢が関係しているので、簡単には治りません。でも、実は、まぶたのケアを毎日こつこつと続ければ、相当に症状を改善させることが可能です。ただ、そのケアが従来は高齢者には実行困難で、あきらめていました。
最近になって、まぶたのケアを家庭で手軽に行えるという商品がいくつか発売され、簡単に入手できるようになりました。
そこで今回は川本眼科としてお勧めする商品とケア方法をご案内したいと思います。なお、メーカーからは1円ももらっていません。念のため。
目を温める
マイボーム腺はまぶたの縁にあり、まばたきをするたびに油を分泌して涙の蒸発を防いでいます。
この油の性状が加齢に伴って変化し、融点が高くなります。若いときはオリーブオイルみたいなさらさらした油だったのが、歳を取るとラードみたいなペースト状の油になってしまうのです。
ラードも温めてやると溶けて液状になります。まぶたを温めてやれば加齢によって固まりやすくなったマイボーム腺の油が溶けて排出されやすくなります。皮膚表面だけでなく少し深い部位まで40℃以上に加熱する必要があるので、5分以上温め続けなければなりません。
あずきのチカラ
目を温めるのに一番手軽なのは温おしぼりです。濡れたタオルを電子レンジで温めれば簡単に作れます。ただ、温おしぼりはすぐ冷めてしまうという致命的欠点があり、まぶたの深部まで温めることができないのです。
以前ご紹介した「めぐリズム」は持続時間の点では申し分ありません。問題は価格です。1回に70円もかかるのでは毎日使うには高すぎます。
お勧めは「あずきのチカラ目もと用」という製品です。電子レンジで30秒ほど加熱して目に当てるだけの簡便さで、250回繰り返し使えるそうです。単純に計算すると1回3円以下ですから、費用を気にせず気軽に何回でも使えますね!
薬局やネット通販で入手できます。
アイシャンプー
温めた後でまぶたの縁をお掃除しましょう。高齢者では、老眼になってよく見えないせいもあってまぶたの縁の手入れは何もされていないのが普通ですが、フケのような老廃物がたまっていたり、マイボーム腺の出口には油が固まって塞ぎかかっていたりして、炎症をおこす原因になっています。
まぶたの縁をきれいに掃除することは近年重要視され、リッド・ハイジーンという名前がついています。しかし、そのために石鹸を使うと目の中に入って角膜障害を起こしてしまいます。そこでお勧めするのが「アイシャンプー」です。目の中に入っても大丈夫というのがミソです。
他にもオキュソフトという拭き取りコットンもあり、手軽で便利だと思います。残念ながら値段がちょっと高いのが欠点です。
アイシャンプーでまぶたの縁をマッサージするようにこすって下さい。この操作を念入りに行うことで、マイボーム腺の油を排出させる効果も期待できるのです。
ポイントは根気よく毎日続けること。それまでどんな目薬を使っても軟膏を使っても治らなかった慢性の炎症が劇的に改善したこともあります。
川本眼科受付にあります
アイシャンプーはまとめて購入すると比較的安く入手できるため、それを川本眼科の受付でお分けしています。儲けはなしの実費販売864円です。
ちなみにアマゾンでは今調べて1,646円でした。ネット通販と比べてもかなり安価だと思います。
なお、アイシャンプーロングという美容成分を配合した高級バージョンもありますが、眼科的にまぶたのケアをするだけの目的なら必要ないので、川本眼科では現在扱っておりません。
余談ですが、従来はこういう院内販売は合法か違法か微妙で、営利事業になるのでダメと事実上禁止されてきました。規制緩和により昨年8月から「患者のために、療養の向上を目的として行われるものである場合に限り可能」とされました。禁止から容認へと方針転換したわけですが「もともと以前から可能だったのを今回明確化した」と厚労省は強弁しています。何か面子の問題でもあるのでしょうか?
1日2回がお勧め
まぶたを5分温めてアイシャンプーで清潔にするのにかかる時間は、慣れれば10分くらいです。それほど大変だとは思えません。
ケアの回数は朝晩2回をお勧めします。無理なら1日1回でもよいでしょう。負担に感じるようでは長続きしませんから。最初1日2回で始めて、良くなってきたら1日1回にすることも可能だと思います。
時間の指定は特にありません。ただ、いつケアするか決めておくと習慣化しやすいと思います。歯磨きのように毎日の習慣にしてしまえば大成功です。例えば、朝洗顔する際についでにやってしまうと忘れにくいです。化粧した日なら化粧落としの時が狙い目です。目薬をさした後にケアするのも良いアイデアです。歯磨きの直後なんていう手もあるでしょう。
気が乗らない日は手入れをサボっても構いません。完璧でなくても継続することが大事です。
(2015.11)