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川本眼科だより

川本眼科だより 218無駄な会議をなくす 2018年3月30日

NHKが「AIに聞いてみた」なる番組を作っていて、その中でAIひろし君は「午後の会議は16分以内」と提言しています。私は会議が嫌いなので我が意を得たりと感じました。

ただし、この番組はAIが世の中の現象に驚くべき因果関係を発見したという筋書きなのですが、AIの中身がブラックボックスで真偽の検証ができない上に、因果関係と相関関係を混同した議論もされているようで、どうもAIの主張をすべてそのまま信用するわけにはいかないようです。

会議は嫌い

会議が嫌いです。いや、会議で生産的な議論ができるなら喜んで出席するのですが、たいていは形骸化していて、どうでもいい報告を長時間聞かされたり、主要メンバー間で既に根回しが済んでいる決定事項を追認するだけだったり、時間の無駄と感じることが多いので、イライラします。

とりわけ無駄だと感じるのは、毎年毎年同じ内容を繰り返し、質疑応答もほとんどないまま式次第通りに終わる「例年通りのシャンシャン会議」です。わざわざ人を集める意味はまるでなさそうです。みんな忙しいのに。

無駄な会議では、発言すると余計に時間が長くなって自分の貴重な時間がさらに奪われる羽目に陥るので、異議があってもじっと我慢して議事が予定通り進行するように最大限協力します。参加者の多くが同じ思いのようで、みんな黙ったままひたすら耐えるのです。

出席しなくてもよい会議は最初からなるべく欠席するようにしています。

ミーティングや会議をしない

毎朝必ずミーティングを行う職場は多いと思いますが、川本眼科では行いません。会議もほとんどしません。

スタッフのほとんどは女性で、家事や子育てとの両立は大変です。ミーティングのために早く来てもらうのは、たとえ15分でも難しいのです。多少の犠牲を強いてもミーティングが十分に意義深ければよいのですが、私の経験では、たいていのミーティングは口頭で連絡事項を伝達し、上司が訓示らしき話をするだけです。それだけなら、代替手段はあります。

伝達はメモの回覧やLINEで

1つはメモの回覧です。私は指示をメモに書いて全員に回覧させます。最後にそのメモは1冊のノートに貼り付けて保存されます。

メモ回覧方式法の利点は、口答指示より正確に指示内容を伝えられ、曖昧さがなく、後で見返すことも容易だということです。口答指示では通常人から人へ順番に伝えることになります。たとえミーティングで指示したとしても、全員は揃わず欠席者がいますから口づてに頼らざるを得ません。つまりこれは伝言ゲームと同じで、途中で情報の欠落や改変が起きてしまうのが常です。メモ回覧方式ならこの問題を回避できます。

短いメモで済まないときには、連絡事項を印刷して配布することもあります。意味はメモの回覧と同じです。

もう1つはLINEの活用です。スマホを使っている人にはおなじみのアプリですね。スマホが普及する前にはメーリングリストを使っていました。時間外や休日でも迅速性が要求される連絡事項というのはあるもので、一度に全員に伝えられるので便利です。

ただ、院内で仕事中はスマホは持ち歩けません。一方、時間外や休日に仕事の話でスタッフを煩わせるのは申し訳ないので、LINEはどうしても必要な時だけにしています。

ミーティングしない代わりに

誤解しないでいただきたいのですが、私は人が顔を合わせて話をすることは人間関係の構築にとても重要だと考えています。顔を合わさずにメールだけでやりとりするようなやり方では人間関係がギクシャクして上手くいかない可能性が高いと考えています。

幸い、大企業と違って職場が分散しているわけではないので、スタッフはみんな院内で昼休みを取ります。スタッフルームで一緒に過ごすことが多く、それほど長い時間ではないにせよ、雑談でも世間話でも交わす時間があります。会議のように束縛するよりも自由に会話することが仲間意識を高め、結果的に円滑な業務の遂行に役立っていると思うのです。

月に1回は勉強会を開いています。水曜の午後、なるべく家庭での生活に支障がなさそうな時間にやります。最初にお弁当をみんなで食べます。なるべく上司の訓示を部下が畏まって聴くというスタイルにならないように心がけています。

さらに年1回3月には全員を引き連れて美味しいものを食べに行きます。忘年会も新年会もしない川本眼科にとって一番大きなイベントです。

つまらない会議に時間を割くよりも、楽しく笑顔で過ごすこうした時間のほうが有意義だと私は考えています。

院長の診察介助は6人で交代

院長が診察するときに介助をしてもらっています。介助者は6人で交代です。固定してしまったほうが院長の癖を把握してスムースに介助ができるのですが、そこをあえて交代制にしています。それは、院長とスタッフがなるべく近い距離で話をする機会を増やし、風通しを良くすることが大事だと考えているからです。

少なくとも、スタッフが院長に意見を言いやすくなったし、院長が患者さんとやり取りするのを見ることで、院長の考え方を周知徹底することには役立ったと考えています。

本当は意見があるのに

会議になると黙りこくる人が多くなるのですが、1人1人に直接話をすると、実はみんなそれなりに意見を持っていることが分かります。

どうも、目立つと「出る杭は打たれる」という心配があるし、下手に提案をすると「隗より始めよ」と言われて業務が増える恐れがあるというわけで、なんとか穏便にその場をやり過ごそうという意識が働くのだと思います。そういう日本的事情が、なおさら会議を非生産的なものにしていると言えるでしょう。

逆に、堅苦しい会議では出てこない意見を聞き出すことが課題なのだと思います。

(2018.3)