川本眼科だより 242川本眼科のコロナ対策 2020年3月31日
新型コロナウイルスCovid-19が今後どうなっていくのか先は見通せません。なるべく早く収束して欲しいところですが、恐らく相当に長期化して何ヶ月もかかるだろうと予想しています。
現時点での川本眼科の新型コロナウイルス対策をご説明いたします。状況が刻々と変化する中で、今後新しい情報や知見が得られれば臨機応変に対応していくつもりです。
対策の中には患者さんに多少の我慢をお願いしなければならない事項もございます。ご協力賜れば幸いです。
マスクは全員着用で
マスクをしていても他人から感染させられるリスクはあまり減らないと言われています。しかし、「ウイルス保有者がマスクを装着すれば他人に感染させるリスクを減らせる」
さらに、コロナウイルス感染者の多くが軽症で、自覚症状がほとんどない場合もあるとされています。そういう状態でも感染力があるというのです。つまり、本人に全く自覚症状がないのに他人に感染させることがありうるのです。
そこで川本眼科では、院内では来院者もスタッフも原則として全員がマスクを着用することにいたしました。これにより感染拡大する危険性をかなり減らせると考えています。
なお、本来ならマスク未着用の方には、マスクを差し上げて着用していただくべきですが、ご存じのように現在医療機関でもマスクが入手困難となっており、それだけの余裕がありません。早くマスクを潤沢に供給してほしいところです。
なお、発熱や咳など感染が疑われる方はご来院をご遠慮下さい。
来院時に手指の消毒を
来院の方全員に、手指をアルコール系消毒薬で消毒することをお願いしております。手指を介してウイルスが持ち込まれることを防ぐ対策です。特に指先はウイルスが付着している可能性が高いので、念入りに消毒して下さい。
アルコールやベンザルコニウムなどの消毒薬にアレルギーがある方は、消毒の代わりに手洗いをお願いします。
こまめに消毒しています
手すり、取っ手、台などにウイルスが付着すると感染原因になると考え、こまめにアルコールで消毒しています。
エタノール(エチルアルコール)も品薄です。薬品卸に注文してもなかなか届きません。1ヶ月程度は持ちこたえられるものの、困った事態です。医療機関には優先して供給して欲しいところです。
最大限に換気しています
コロナウイルスは「換気が悪い密閉空間」で感染しやすいとされ、感染予防に換気は重要です。
通常、川本眼科ではロスナイという熱交換器付の換気扇を使っています。これは室内の熱を逃がさないで換気ができる優れものであり、普通はウイルス感染対策としてもロスナイ換気で十分だと考えられます。
しかしコロナウイルスについては未知の点も多く、念には念を入れて最大限の防御をするために、現在すべての換気扇を「急速」で動かしています。急速換気では熱交換機能が有効に働かないため、結果的にエアコンの効きが悪いと感じられるかも知れません。
また、昼休み20分、診療終了後は1時間以上、窓やドアを全開にして換気しています。さらに、外気が暖かい日は診療中であっても窓を開けて換気しています。その結果、患者さんに寒さを我慢していただく場面もあろうかと存じます。安全性を重視した事情をご理解ください。
間隔を開けて座って下さい
コロナウイルスによる飛沫感染を防止する対策として、人と人の間の距離を取ることが推奨されています。(できれば1m以上)
幸い川本眼科は昨年増築し、待合室は格段に広くなりました。イスの置き方もスタッフが工夫しましたので、お待ちの方がお互いに一定の距離を置いて座ることができます。
もちろんあまりに混雑すれば間隔を狭めざるを得ませんが、川本眼科では現在時間のかかる検査を減らし、患者さんの院内滞在時間をなるべく短くするように努力しており、少なくとも3月中は混雑を避けられたと思います。
PCR検査は偽陰性が多い
コロナウイルスに対してはPCR検査が行われています。この検査では偽陰性が多いと言われています。「陽性」であればだいたい結果は信用してよいのですが、検査の感度は30~70%と推定されていて、「陰性」という結果が出ても素直に信じることは危険で、感染を疑わせる症状があればむしろ感染疑いとして外出などの行動を制限すべきと考えられます。
余談になりますが、眼科でもアデノウイルスに対する検査が同様の問題を抱えています。感度が70%くらいで偽陰性が多かったため、検査結果を信用して登校を許可するのは相当に危なっかしいと思って、3日程度は休むことをお勧めしていました。川本眼科で導入した最新の検査法では検査の感度が90%あり、このくらいになるとまあまあ信用できます。
こういう事情を考えると、「PCR検査で陽性・陰性が明確に区別できる」を前提とした議論はおかしいと思います。発熱や咳などの症状がある人は、検査結果にかかわらず、症状が続く間は外出を控えるべきです。
なお、最近1時間程度で結果が得られる簡易検査キットが登場したそうですが、偽陽性・偽陰性がどのくらい出るのか知りたいところです。
対策の緩和は必要だが困難な道
コロナウイルス対策で、全国一斉休校やイベント自粛や出入国の制限などが行われました。これらの対策はリスクが不確実な状況では必要だったと私は評価していますが、経済に与える副作用は深刻で、長期に続ければ大不況に陥る恐れが大きく、いつまでも続けるわけにはいきません。
感染爆発を起こさない程度に、重症者に使用する人工呼吸器が不足したり、重度呼吸器感染者用のベッドが不足したりしない程度に、対策を緩和する必要があるでしょう。もし予想以上に感染が拡大したら再び対策を強化する必要もあるでしょう。そのうちには免疫を持つ人も増えます。
これは非常に微妙な舵取りで、緩和しても強化しても批判されるのが常です。そんな風に上手に管理していくことがはたして可能なのかどうかさえ分かりませんが、早期にワクチンや特効薬が開発されるような奇跡が起こらない限り、それしか道はないように見えます。
(2020.3)