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川本眼科だより

川本眼科だより 246メタボとダイエット 2020年7月31日

食事療法の話題は 川本眼科だより180でも取り上げました。減塩とカロリー制限の話でした。

実は私も食事制限せざるを得なくなり、2ヶ月で8kg減量しました。今回はメタボとダイエットについてお話しします。

メタボ(内臓脂肪症候群)とは

メタボ(メタボリックシンドローム)という言葉は、一般の人には単純に肥満の別名と誤解されているようです。

高血圧・糖尿病・高脂血症などの生活習慣病と呼ばれている病気は、実は独立したものではなく、相互に関連し合っていて、内臓脂肪蓄積が原因であることが分かってきました。2つ以上の病態が合併しやすく、連鎖的に起こり、心臓病や脳卒中などの怖い病気になる確率が飛躍的に高まるとも報告されています。(10倍以上との報告も)

内臓脂肪は見た目ではなかなかわかりません。一見スリムなように見えても意外に内臓脂肪が蓄積していることがあります。

脂肪肝炎

脂肪肝は内臓脂肪の1つです。飲酒も原因になりますが、お酒を大して飲まないのに脂肪肝になり、その中に肝炎の症状を示す人がいて、これを非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と呼びます。

脂肪肝は昔は軽い病気だと考えられていましたが、最近の報告によると、NASHの10~20%が肝硬変に進行し、そのうち10%は肝癌になります。肝硬変になれば5年以内に4人に1人は死亡するのですから、相当に怖い病気であることは間違いありません。

治療は主にダイエット

内臓脂肪は必要以上に摂取した糖質や脂質が中性脂肪に変わり、貯蔵されたものです。つまり、原因は食べ過ぎです。

逆に、消費するカロリーが摂取するカロリーより多ければ内臓脂肪は消費されます。単純です。しかも、うれしいことに皮下脂肪より内臓脂肪のほうが消費されやすいのです。

世間で流布するダイエット法には、この単純な原理を無視しているものがたくさんあります。例えば「〇〇しさえすれば後は好きなだけ食べてもダイエットできる」とか。いや、余分に食べれば必ず太ります、はい。

運動はなぜ大事?

運動で消費できるカロリーは少なく、運動だけでは痩せません。洋菓子1個は300~400kcalで、これを消費するには散歩なら2時間、ジョギングでも1時間近くもかかります。

つまり、好きなだけ食べてそれを運動で消費するというのは現実的ではありません。ダイエットで摂取カロリーを減らすしかないのです。

ただ、運動しないでダイエットすると筋肉が減少してしまいます。その結果基礎代謝が下がり、つまりカロリー消費が低下してかえって太りやすくなります。筋肉減少を防ぐには運動です。カロリーを消費する有酸素運動と筋肉をつける筋トレを組み合わせましょう。

外食は減らす

グルメな食事は、中華もフレンチもイタリアンも、魅力的ですがとんでもなく高カロリーです。揚げ物も高カロリーです。食べ放題もダイエットの大敵です。

外食の場合、カロリーコントロールは困難です。なるべく低カロリーのメニューを選び、一部を食べずに残すしかありませんが、満足感が得られにくく、つい誘惑に負けて食べ過ぎてしまいます。できるだけ外食は減らしましょう。

夕食を早めに、間食はしない

間食に食べるものはたいてい甘いものになりますが、一般的に結構カロリーが高いです。しかも食欲を刺激してしまうのが難点です。食べるとしても200kcal程度、それで満足できますか?

昼食と夕食の間隔が開きすぎると間食が必要になるので、できれば夕食を早めに取るようにして、間食はしないのがベストです。

夕食後は何も食べない

夕食後はカロリーが消費されず、食べたものが内臓脂肪として蓄積されやすいので、夕食後は何も食べないようにしましょう。夜は空腹に、そのぶん朝食を。朝食は消費されやすいですから。

ということは夜遅く飲むのもダメです。酒もカロリー、酒の肴もカロリーで、夜遅く飲めばみんな内臓脂肪! 我慢できませんか? 気持ちはわかります。だからダイエットは難しいのです。

空腹感との戦い

ダイエットは空腹感との戦いになります。食欲というのは人間の基本的な本能で抗いがたいものです。

空腹を感じにくくする対策は2つあります。

1つは低カロリーのものをたくさん食べて胃を満たすことです。胃が膨らむことで満腹感が得られます。最適なのは野菜料理です。野菜のほかにこんにゃくもありますね。豆腐で作った麺なんてものもあります。総動員しましょう。

もう1つは血糖が上がりやすい食材を避けることです。血糖が急激に上がるとインスリンが分泌されます。インスリンは血糖を下げます。時間がたつと血糖が下がりすぎ、これが空腹感の原因になります。具体的には糖質(炭水化物)が血糖を上げやすいので、糖質を減らします。

糖質ダイエットという方法を初めて聞いた時は糖質だけ減らしても総カロリーを減らさないと意味がないと思いましたが、それなりに理由はあったのです。

糖質の代わりにタンパク質を

カロリーは減らしても、その中で必要な栄養素は十分に摂取しなければなりません。それがダイエットの難しさです。絶食ではダメなのです。絶食に近いことをすると、体が必要な栄養素を求めて強い反動が起こります。よくある失敗です。

ダイエット中でも意識して特に摂りたい栄養はタンパク質です。タンパク質はダイエット中に減りやすい筋肉を維持するために欠かせません。具体的には肉・魚・卵・乳製品・大豆製品です。その摂取のために結果的に少々カロリーが増えても構わないと思います。

タンパク質を摂るために増えたカロリーは、糖質を減らすことで収支を合わせましょう。

 

私は以上を守って8kg減量し、その結果検査値もすべて正常化、血圧も下がりました。正しい生活習慣を継続すれば、この状態を維持することも十分可能だと思っています。

内臓脂肪が心配なみなさん、頑張って下さい!

(2020.7)