川本眼科だより 276年賀状じまい 2023年1月31日
昨今、年賀状を出す人の数は減り続けているそうです。実際、「今後年始の御挨拶は控えさせていただきます」という通知を受け取ることが多くなってきました。
私も数年前から「年賀状じまい」を真剣に考え始めました。今年いただいた年賀状を読み返しながら、熟慮の末、来年からもう年賀状をやめることを決心いたしました。
年賀状の楽しみ
実は、私は年賀状をいただくことは好きです。いろいろ工夫の凝らされた仕掛けがしてあったり、近況を知ることができたり、お子さんの写真やらその人が撮ったとっておきの写真が拝見できたり、引っ越し先の住所を知ることができたり・・
何年も会っていない相手と年賀状だけ毎年やり取りをすることもあります。これも「友あり、遠方より来たる。また楽しからずや」という気分で悪くないと思っています。
年を取ると枚数が多くなる
ただ、年を取るほど人付き合いの範囲が広がるのは当然で、古くからの知り合いから新しい知り合いまですべて年賀状を出し続ければ膨大な数になってしまいます。
一般的には会わなくなって付き合いが薄れたら出さなくなるわけですが、こちらが出さなくても相手から賀状が届いたら返事を出さなければなりません。前年に年賀状をもらった人をリストにして出す人も多く、お互いに義理堅く出し合っていると、やり取りは永久に終わりません。
返信しなければやり取りは途切れるでしょうが、相手に悪い印象をもたれそうですね。
枚数が多いと管理が大変
一時は300枚も出していました。(今は180枚)
それだけの数になると、様々なチェックが大仕事になります。前年年賀状をいただいたか、喪中でないか、相手が年賀状じまいを宣言していないか、引っ越していないか・・ 年明け年賀状が届くと出してあったかどうか全部チェックしなければなりません。私は年賀状用のパソコンソフトを利用してきましたが、すべて自動というわけにはいかず、人の手で処理するしかありません。
文面はパソコンで印刷していましたが、「印刷だけでは味気ないので一言手書きで」と言われていて、でも実際にやってみると結構大変・・
結局かなりの時間と手間暇を費やすことになります。しかも、プライベートな事柄ですから誰かに頼むわけにもいきません。
年末年始は旅行で留守
お正月に家で過ごしていれば年賀状の処理に時間を取れますが、実は留守のことが多いのです。開業医にとって、年末年始は長期休暇が取れる貴重なチャンスで、たいていは旅行に出かけています。そして旅行から帰ればすぐに仕事始めです。
12月のうちに投函しておくぶんは何とかなりますが、問題は年賀状の返信です。あまり遅くなってはまずいですが、何しろ時間がありません。
返信の強要になっていないか
私の年賀状を受け取る側でも事情は同じだと思います。年末年始は出かけている方が相当に多いはずです。出かけていなくても、年末年始は多忙という方は多いです。私の年齢になると、知り合いも教授とか管理職とかになっていることが多く、時間や手間を取らせるのは申し訳ないです。
年賀状は受け取ったら返信するのがマナーだとされています。私は返信がなくても別に何とも思いませんが、年賀状を出すことで、ある意味、忙しい人に返信を強要していることになってしまっているのではないかと危惧します。
年賀状離れ
既に若い人は年賀状を出さなくなっています。息子も娘も年賀状は出さないようです。私と同年代の人でも、既にもう年賀状は出さなくなったという人が結構いますし、「年賀状じまい」を考えている人が多くなっています。
年賀状自体、明治に郵便制度が始まってから広がった習慣でそれほど歴史が長いわけではありません。メールやSNSで簡単に連絡が取れる時代なので、ハガキで出す年賀状はもう時代遅れなのかも知れません。
自然減を図るのは失敗
年賀状の自然減を意図して12月に投函する年賀状を少なくしたことがありましたが、失敗でした。
毎年やり取りをしている相手からは年賀状が届いてしまい、結局1枚1枚確認してたくさんの返信をせざるを得ず、かえって大変でした。多少は減ったものの手間がかかるのは同じでした。
年賀状じまいを伝える方法
年賀状じまいをしたくても、年賀状をやり取りしていた相手にその旨を伝えなければ年賀状は届いてしまいます。
もちろん、相手から年賀状が届いても全く返事を出さなければいずれ自然に止まります。実際にそういう形で年賀状を止めた人を知っていますが、さすがに無礼だと思われかねません。
一般的には、ある年の年賀状で「来年から年賀状はもう出しません」と宣言する方法が採られるようですが、はたしてすべての人が1年近く先の年賀状シーズンまでその宣言を覚えてくれているでしょうか? 心許ないです。
私が今考えている方法は、喪中ハガキと同様に、年末に「年賀状じまいの御挨拶」を出すことです。縁切り宣言のように思われないよう文面に気をつかう必要があるでしょうが、たぶん最も効果があると思います。
年賀状の代わりは?
年賀状に「明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします」しか書かない人も多いですが、私は長年かなり細かく家族の近況報告をしてきました。それを楽しみにしているというお声をいただくこともありました。一定の役割はあったと思います。
今の時代、これに代わるのはインターネットを使った伝達になるでしょう。クリニックのホームページに挨拶を書き込むこともできます。ブログ、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムなどたくさんの手段があり、年賀状よりもはるかに多くの情報を日常的に発信できます。
ただ、ネットだと公開される範囲が広くなりすぎてあまりプライベートなことは書けません。今までも何かといちゃもんをつけられる経験もしてきました。炎上の危険もあります。
そもそも、現実問題としてネットでの発信にそんなに時間が取れそうもありません。今後どうするかいろいろ迷っているところです。
(2023.1)