川本眼科だより 297川本眼科30周年 2024年10月31日
川本眼科は1994年11月1日開業しました。それから30年経ちます。早いものですね。川本眼科だより57で10周年、だより176で20周年の記事を書きました。節目ですので川本眼科の今までを振り返ってみたいと思います。
1994年 開業
もともと私は東京出身ですし、家内は名古屋出身とはいえ東京生活が長かったので、東京またはその周辺で開業場所を探していました。でも、東京には眼科医院が多くて、適地が見つかりませんでした。
当時ちょうど名古屋に地下鉄桜通線が開通する直前で、駅に直結した貸店舗に空きがありました。野並とか鶴里とかいくつか候補がありましたが、桜本町は環状線に面していて、他科の病医院が多い地域だったこと、眼科の空白地帯だったことが決め手になりました。
良い場所で開業できて幸運
車道だけでなく歩道も広く、電柱が地下化された綺麗な街並みは今でも気に入っています。
それにこのあたりは松巨島(まつこじま)という島があった場所で高台になっており、東海豪雨でも全く被害にあわなかったのです。
環状線沿いだけ商業地ですが、一帯は古くからの住宅地で、住民の年齢層も比較的高く、眼科には向いていました。
結果的にとても良い場所で開業できたと思います。しっかりリサーチしたわけでもないし、最後は勘でえいやっと決めたのですが、30年たった今考えても現在地に勝る開業立地は見当たりません。本当に幸運でした。
2000年 新築移転
最初の開業場所から道路を隔てた真向かいに土地を買いました。不動産屋さんの飛び込み営業でした。値段が高くてずいぶん悩みました。大きな借金を背負うのはすごく勇気がいりました。結局、その土地を買う決心をして、しばらくしてから眼科医院を新築しました。2000年のことです。
今考えると、川本眼科が診療を続けていくためには元々の場所では狭すぎて無理で、いずれ移転は不可避でした。それに、結果的にみて、家賃を払い続けるよりはずっとお得でした。早めに決断して正解でした。
従来よりはるかに広いスペースを得て、研修のための会議室、図書室、職員のための広い休憩室、カルテ室などを設置できました。最新の眼科医療機器を揃えることも可能になりました。診療レベルの向上にも大いに役に立ったのです。
2019年 増築
眼科の診療機器は徐々に増え、手狭になってしまいました。新しい機器を導入したくてもスペースがありません。待合室も混雑して椅子が足りません。何とかしなければなりません。
幸い、2017年に北側隣地を譲っていただけることになり、増築を計画しました。診療しながら工事を進める制約があって時間がかかりました。
当初の計画は別棟を作って運用するというものでしたが、それでは使いづらいので、耐力壁ではない北側コンクリートの壁をぶち抜くことにしました。そのおかげで増築部分の使い勝手が非常に良くなりました。2019年(令和元年)の天皇即位の際、ゴールデンウィークは10連休でした。この機を狙って騒音が出る工事を行いました。
待合室が広々とし、照明をLEDにして明るくなりました。課題だったトイレの増設も実現して、男女別になりました。新しい眼科医療機器を置くスペースもできました。
職員の休憩室やロッカールームも大きくなり、倉庫スペースも格段に広がりました。
お休みを勤め人並みに
開業して30年、私もサラリーマンなら定年となる年齢を超えまして、働きづめでは身が持たないと感じるようになりました。
まず、11月13日から毎週水曜を休診とさせていただきます。たいていの病医院が週休2日だと思いますので、これで人並みですね。週休2日でなければ優秀な人材が集まらないのが現実です。
労働基準法では、労働者は年間10~20日間の有給休暇が取得できます。心身の健康維持のために必要だとされています。今後は、有給休暇程度のお休みはお許し下さい。今までは、正月・ゴールデンウィーク・お盆しか長期の休みを取りませんでしたが、これからは別の時期に休むこともありますのでご注意ください。例えば、お盆は診療して9月に休むことも考えています。
休みは、できれば病院通いなどではなく、旅に出るなど人生を充実させることに使いたいと思っています。
あと10年は続けたい
幸い、健康には恵まれてまだまだ元気なので、あと10年は診療を続けたいと思っています。
続けるからには、眼科の進歩に取り残されないように、しっかり勉強を続け、設備も更新していくつもりです。
診療スタイルはそれほど変わらないでしょう。従来通り、病診連携、診診連携を通して、手術を含めて患者さんが最先端の医療にアクセスできるようにいたします。その際にどこの病医院に紹介するかは「患者さんにとって何が最善か」を重視し、グループの枠にはこだわりません。
受診者数は適性数に抑えたいところです。混雑しすぎると待ち時間は長くなるし、医師も職員もへとへとに疲れ切ってしまいます。ただ「受診したいときに受診できる」は守りたいと思います。
来年からは男性の職員が増える予定です。医療は伝統的に女性が多い職場でしたが、男女の垣根がなくなっていくのは時代の流れですね。
その先は?
働けるうちは働くつもりですが、10年後くらいには年齢的な限界を迎えるのだろうと覚悟はしています。その前に病気で続けられなくなる可能性もあるでしょうね。
息子は麻酔科医となり、娘は医学とは別の道を進んだので跡継ぎはいません。誰か後を託せる信頼できる医師がいればよいのですが、誰でもよいという訳にはいかないし、簡単ではないと思っています。
最近は「医業承継のお手伝いをします」というダイレクトメールがしょっちゅう届きます。引退する老開業医とこれから開業したい若手医師を引き合わせるビジネスです。引退勧告みたいで「余計なお世話じゃ!失礼な」と反発していましたが、地域医療への責任を考えたときには、そういう業者に依頼するのも選択肢になるかも知れません。
(2024.10)