川本眼科だより 8医療機関の広告 2000年10月30日
注)広告規制は若干緩和されました。また、川本眼科のホームページもこの後で作りました。
医療機関の広告規制
最近は医療機関の広告が目立ちます。不況のため、企業が広告を減らしているので、相対的に目立つのだと思います。
しかし、医療機関の広告には、診療所や病院の名前、医師の名前、電話番号くらいしか書かれていません。どんな診療をしているのか、得意分野は何か、専門医資格はあるのか、広告からはさっぱり読みとれません。この情報化時代に時代錯誤と言わざるを得ません。
実は、医療機関の広告は法律で規制されているのです。診療内容や専門医資格の有無を広告するのは法律違反なのです。
どうしてこんな規制があるかというと、営利を追求する一部のチェーン病院などが大々的に広告して患者集めに走るのを警戒しているのです。確かに、肝腎の診療をなおざりにして広告競争ばかり激化したり、誇大広告が蔓延したりという事態がおこっては困ります。しかし、だからといって今のままでは患者さんが適切な医療機関を選ぶための情報がないに等しく、何らかの改善は必要でしょう。
広告規制のがれの方法
規制があれば、それに対する抜け道を探すのは人の常です。
広告規制をのがれる方法はいくつかあります。
1つは、「第三者が医療機関を紹介する記事を書く」という方法です。広告ではなく、紹介記事なら構わないわけです。もちろんちゃんとした紹介記事もあるのですが、医療機関からお金をもらう「有料掲載」の場合が多く、こういう紹介記事は、限りなく広告に近いと言わざるを得ません。なまじ客観的な記事のような顔をしているので、かえって純粋な広告よりタチが悪いかも知れません。
もう1つは、「医療機関についての本を書いて、その本の宣伝をする」という方法です。美容外科や近視手術の宣伝が多いようです。本の目次をそのまま掲載、という体裁になっていますが、結局医療機関の広告にほかなりません。本自体が広告の手段なのです。
どちらの方法も違法すれすれの行為だと思いますが、そもそもの広告規制の法律が正しいことと言えるかどうか疑問なので、それほど非難すべきこととは思いません。しかし、これらの方法が合法なら、既に広告規制は尻抜けになってしまっているわけですから、早く規制緩和に踏み切るべきでしょう。
院内新聞や院内掲示は規制外
不特定多数に対する「広告」は規制されていますが、受診された患者さんに対して情報提供することはさしつかえありません。
広告には専門医かどうか書いてはいけませんが、院内に掲示したり、「診療ノート」に書くのは構わないのです。「川本眼科だより」で他院を紹介することも問題ありません。
家に持って帰れば患者さん以外の目にも触れることになりますが、そのことは特別問題ないと考えられています。
インターネットも規制外
インターネットのホームページも広告規制の対象外です。自ら積極的にアクセスしなければ情報が得られないので、広告ではないと解釈されているのです。
ホームページにアクセスする患者さんは、もともと病気に対する関心が高いので、新聞広告や地下鉄の広告など不特定多数に無差別に広告するより効果が高いと言われています。その上、毎月広告料金が発生することもないので、ホームページを開設する医療機関は多いのです。患者さん側も医者探しにインターネットを活用することが多くなっています。インターネットが盛んになるにつれ、広告規制は実質的に形骸化しつつあります。
ホームページを開設しない理由
ただ、川本眼科はいまだホームページを開設していません。
川本眼科もホームページを開きたいとは考えているのですが、他人任せでは納得のいくホームページが作れないし、かといって自分でホームページを作る時間的余裕はない、というジレンマに悩んでいます。
そもそも、川本眼科の患者さんは60歳以上の方が多く、インターネットを盛んに使う20歳代、30歳代とは年齢層が異なります。情報提供の手段として、将来性はあっても現時点で効率的とは言えません。
ホームページは一度作ればよいというものではありません。バグがあれば修正しなければなりません。間違いがあれば信用問題にまで発展しかねません。また、つねに情報内容を最新のものに更新する必要があります。さらに、送られてくるEメールに対応するにも時間がかかるし、ハッカーに対処するとなればもう大変です。
そんなわけで、いまだホームページの開設に踏み切れないでおります。
iモードの休診案内は検討中
最近は携帯電話を持つ人が多くなりました。
iモードという、携帯電話だけでインターネットにつなぐ手段が一般的になり、全国で使用者が1千万人を越したそうです。
パソコンを持ち歩くのは大変ですが、携帯電話を持ち歩くのは簡単なので、iモードはどこでも気軽に利用できるわけです。
臨時の休診案内だけでもiモードで入手できれば便利なことは間違いありません。現在、留守番電話で臨時の休診案内を流していますが、iモードなら情報量も多いし、わざわざメモをとる必要もありません。
いつから、とお約束はできませんが、前向きに検討させていただきます。
最後は口コミ
広告が規制されていても、最後は口コミという方法があります。広告が規制されているからこそ口コミに頼ることが多くなる、とも言えるでしょう。
残念ながらデマも流れますので、情報の信頼性には注意が必要です。意図的なウソでなくとも、一部の患者さんの誤解が広まって困ることもあります。口コミの情報は玉石混淆だと言わざるを得ません。
それでも、いいことしか言わない広告に比べ、マイナス情報も流れる口コミは、実は患者さんが一番頼りにしている情報源なのかも知れません。
2000.10