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川本眼科だより

川本眼科だより 41ダイエット 2003年7月31日

飽食の時代と言われています。好きなだけ食べているとどうしてもカロリーの取りすぎになります。肥満になるといろいろな合併症がおこりやすくなるので、ダイエット(食事制限)で適正な体重にすることは大切です。
 
眼科でも、糖尿病網膜症の患者さんにダイエットをお願いすることはしばしばあります。
 
私(院長)は昨年11月頃からダイエットに取り組み、ピークからすると約8kg減量しました。その体験を踏まえ、今回はダイエットについて取り上げてみます。

肥満の合併症

世の中には太った人もやせた人もいます。少しくらい太っていたってすぐ病気になるわけではありません。肥満だけれど健康、という方は大勢います。ある程度の年齢になれば、少し太っていたほうが貫禄があって良いかも知れません。
 
それでも、肥満になると、いろいろ病気がおこりやすくなるのも事実です。
 
肥満になると、インシュリンの働きが悪くなります。これをインシュリン抵抗性と言い、糖尿病・高血圧・高脂血症をおこしやすくなります。皮下脂肪型肥満(女性に多い)よりも内臓脂肪型肥満(男性に多い)のほうがインシュリン抵抗性が強く、たちが悪いとされています。
 
また、体重が増加すると、それだけ心臓がたくさんの血液を送り出さなければならず、心臓に負担がかかります。心臓自体にも脂肪がつき、心筋梗塞や狭心症をおこしやすくなります。
 
コレステロールが増加して動脈硬化につながることもあります。
 
また、体重の増加は、膝や腰への負担となります。膝痛や腰痛の原因となるのです。
 
肥満の方は死亡率が高いことがわかっています。主たる原因は心臓病が増えるせいで、脳血管障害も多くなります。
 
もっとも、やせ過ぎも死亡率が高く、若い女性にみられる極端なダイエットはやめたほうがよさそうです。適正体重の場合が最も死亡率が低く、これは常識的な結果ですね。

私がダイエットを始めた理由

私(院長)は、もともとダイエットなどするつもりはなく、だんだん体重が増えてきても「中年太りだからしかたないな」と思うだけでした。
 
ところが、たまにする血液検査で肝機能障害を示す値が徐々に高くなって、「これはまずい」と思うようになりました。脂肪肝になってしまったのです。
 
脂肪肝は、肝臓に内臓脂肪がつくことですが、それほど重大な病気ではありません。しかし、肝臓に脂肪がついているということは、他の臓器にも内臓脂肪がついているということです。このまま放置しておくのはまずいと思いました。
 
血液検査の結果がさらに悪化したため、昨年の11月頃からダイエットに取り組み始めました。
 
ピークの体重から、約8kg減量し、ほぼ適正体重の範囲内におさまるようになり、肝機能もすっかり正常化しました。

低カロリーでもバランスよく

ダイエットというのは、要するに食べる量を減らせばいいのですが、必要な栄養素を摂取しないと体が食べることを強く要求するようになります。何回か絶食に近い食事を続け、そのあと反動でバカ食いするというのは、ありがちなことです。
 
たとえ低カロリーでも、必要な栄養素がバランスよく含まれていることが大切です。そうでないと長続きしないですし、偏った食事は健康を損ないます。

間食は一切しない

ふだんの食生活を洗い直してみると、あまり食べたという意識なしに間食してしまっていることが多いことがわかります。ついせんべいをつまんでしまう、ついみかんを口にする、つい清涼飲料を飲んでしまう・・・ 1回1回は大したことなくとも、合計すると結構なカロリーになるのです。
 
中でもスナック菓子は高カロリーなのに手が出やすいので要注意です。
 
自分がどけだけのカロリーを摂っているか、把握するためにも、「間食は一切しない」ことが大切です。食事時間を守り、同時に食事の場所を決めて、それ以外の場所では絶対に食べ物を口にしないことにします。
 
甘いものが好きな場合は、デザートとして食事の最後に食べます。甘いデザートは、血糖を上げ、脳に食事の終了を伝える役割を果たします。

寝る3時間前からは絶食

朝食で食べたものはほとんどエネルギーとして消費されます。しかし、寝る直前に食べたものは、消費されずに貯め込まれてしまいます。つまり、食べてすぐ寝ると太ります。
 
ダイエットのためには、寝る前3時間くらいは何も食べてはいけません。
 
しかも、寝る前に食べると、翌朝腹がもたれて朝食が食べられなくなり、その分だけ夜食べすぎるという悪循環をおこします。
 
夜は空腹を我慢して寝てしまいましょう。朝食がおいしく食べられるようになります。食事の比重が朝食にシフトすると、同じカロリーを摂っていても太りにくくなります。

脂肪は敵

脂肪は、同じ量なら、炭水化物やタンパク質の2倍以上のカロリーになります。ですから、ダイエットしようと思ったら、脂肪の摂取量を減らすのが早道です。
 
例えば、サラダのドレッシングには油がたくさん入っています。低カロリーで健康によい野菜を食べているつもりが、高カロリーの脂肪をたくさん食べることになってしまいます。また、近頃は何にでもマヨネーズをつけて食べる人が増えているそうですが、マヨネーズはほとんど油のかたまりと言ってよく、ダイエットの敵です。

和食が基本

ふつう、和食のほうが、洋食よりも低カロリーです。ご飯はそれだけでおいしく食べられますが、パンはバターやジャムをつけますよね。和食はダシで味を整えますが、洋食は油を多用します。
 
洋食では、脂肪の多い肉料理が多くなりますが、和食では、魚料理が主となります。和食なら食物繊維も多くとれます。
 
強い空腹感にたえず悩まされるようでは、ダイエットは長続きしません。低カロリーでも腹持ちのよい食事が理想です。
 
ご飯は比較的低カロリーであり、パンに比べて腹持ちがよいという利点があります。
 
とくに、玄米は白米より腹持ちがよく、食物繊維が多いし、そのうえダイエット中に不足しがちな栄養素をバランスよくとれるという優れものです。私のお勧めです。

2003.7